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これからのホームカミングデーはウェブ開催!?今こそ大学と卒業生との関わり方を変えるときだと思う。

前回、関西学院大学の卒業式特設サイトが教育機関の心意気を感じて良かったという記事をまとめました。調べてみると、ほぼ同じタイミングで(卒業式だから当たり前ですが…)、いくつも魅力的な卒業式特設サイトがありました。これらサイトを見ながら思ったのですが、もしかしたら、今回のタイミングは、大学と卒業生との関わり方を変える絶好のタイミングになるかもしれません。今回は、これについて書いてみます。

大学と卒業生との関係性が変わるかもと思ったのは、まず一つに、大学の気持ちやメッセージというのは、ウェブであっても、卒業する学生たちにけっこう伝わりそうだということ。それどころか、こういう非常事態だからこそ、より鮮明に伝わった印象を持ちました。そして、もう一つは、卒業式特設サイトとは関係ないのですが、テレワークが一気に進んだことです。

ちまたでは、ウェブ会議どころか、Zoom飲み会のような、プライベートな交流にもウェブ会議ツールを使う動きが出ています。私もちょくちょくウェブ会議をしており、Zoom飲み会もやってみたのですが、あ、これで十分だわ、と感じました。

仕事柄、何かがあると、これを大学に当てはめるとどうなるだろう……とすぐ考えてしまうわけですが、ぴんときたのが、卒業生と大学との関係づくりです(授業に使うというのは置いといて)。

卒業生向けのイベントの代表格はホームカミングデーだと思うのですが、このイベントはそもそも設計から破綻しているように思うんですね。というのも、やや大げさな表現なうえ、なかには違う人もいるだろうけど言い切ってしまうと、人生において拠点となるエリアは、現在住んでいるところと、地元の2つしかないと思うんです。

小中高であれば、地元ないし、地元からほんの少し離れたところに学校がありました。なので、たとえいま住んでいるところから離れていても、同窓会があれば、実家もあるので足が運びやすいし、今回、足を運ばなくても拠点の一つ(もしくは付近)なので、行くという選択肢は常に在り続けます。

しかし、大学は違っていて、いま住んでいるところでもなければ、地元でもないという人が、けっこういます。しかも昨今、グローバル採用であったり、多くの留学生を受け入れたりしていて、卒業生は日本中どころか、世界中に散らばっているわけです。ほとんどの大学では、この状況をさらに強化・推進していこうとしています。

この状況を考えると、卒業生を大学に呼ぶというのは、かなり骨が折れる作業だし、実際、来れる人は全体のごく一部なうえ、今後さらに減っていく可能性が高い。そうであるなら、エリアに縛られず、参加したいと思える人が参加できるイベントに変えていく必要があります。

ウェブ会議ツールなどを活用したウェブホームカミングデー、もしくはウェブとリアルが共存したホームカミングデーというのは、この答えの一つであるように思うのです。といっても、いきなり大規模なイベントの実施というのはかなりハードルが高いわけで、卒業生対象のウェブ公開講座と懇親会ぐらいからはじめるのが現実的なのかもしれません。

ウェブを使うことで、大学と卒業生とのつながりがカジュアルかつ緊密になっていくと、学生たちの教育や就職支援、リカレント教育など、さまざまなシーンで大学と卒業生は価値を提供し合うことができるようになります。これは大学全体の魅力を底上げにつながるし、大学が若者のための教育機関から全世代のための教育機関にシフトする、現実的なきっかけになるように思います。

コロナウィルスのパンデミックは、終わりどころか、全体像するつかめない状況にあります。しかし、これを機に社会が変わるだろうということは、すでに多くの人が予感しています。この変化自体は不可抗力で、良いも悪いもないのですが、プラスに活かすこと、少なくとも活かそうとすることは、個々人ないし組織の努力でできる範疇です。大学も混乱の最中にあり余力がないのは承知です。それでも、何くそ!と、この混乱を前に向かうエネルギーに変えて欲しいと勝手ながら切に願っています。考え方ひとつで、今は大きなチャンスにもなると思うのです。

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