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大学にとって起死回生のきっかけになる!? アフターコロナに生まれるだろう、大学と学びの新常識を考える。

新型コロナの蔓延によって、急速にオンライン学習が普及しはじめています。大げさでも何でもなく、おそらく現在、人類が誕生して以来、最も多くの人がオンライン学習をやっているのではないでしょうか。大学に関していうと、オンライン授業用にコンテンツをつくるだけでなく、学生たちが受けられるように資金や機器の援助にまで取り組んでいます。

この一連の出来事は一過性のものなのか、それとも今後も続く変化のきっかけなのかは、まだわかりません。しかし、これがきっかけだとしたら、非常にドラスティックな変化が生まれるのではないかと思うのです。だって、学び方が変わると、生き方が変わります。みんなの生き方が変わると、社会が変わるわけで、社会が変わると世界が変わっていきます。で、さらにいうと、世界が変わると、それに影響して学び方がまた変わってくる……。今回は、世界が変わったから、学び方が変わり……、と、厳密にいうと起点が違うのですが、それでも学び方も、生き方も、社会も世界も、大きく変わるかもしれないタイミングに、私たちは今いるのかもしれません。

世界に開かれた、キャンパスのない大学。

じゃあ、具体的に何が変わるのでしょうか。まず思いつくのは、オンライン学習が普及していくと、現状の規模のキャンパスがいらなくなるのではないでしょうか。そして、それによってキャンパスを維持するために使っていたリソースを教育・研究に、もっと割けるようになるのかもしれません。極端な話、キャンパスそのものがなくなる可能性だってなくはありません。すでにアメリカに本部を置くミネルヴァ大学は、キャンパスのない大学として、たびたび日本でもマスコミに取り上げられています。これと同じような大学をつくりやすい環境が醸成されていくのではないかと思うのです。

さらにいうと、キャンパスがなくなると、大学は場所に縛られなくなります。そうなると、ターゲットは、日本人だけでなくなってくる。また、現在の海外の教育事情を把握できていないのですが、海外も日本と同じような状況になっているのなら、海外にも場所に縛られない大学ができてくる可能性があります。そうなると、日本人が留学という選択肢を選ばなくても、海外の大学で学べるようになるかもしれない。そこまでいくと、国境を超えた優秀な学生の争奪戦が起こります。今まで、大学の世界ランキングは“箔”のようなものでしたが、今後はもっと死活問題になるかもしれません。

新たに生まれる、学び続けるための土壌。

またオンライン学習の普及によって、いくつになっても学び続けられる社会が、やっと本当に訪れるかもしれません。これはオンライン学習のコンテンツや、オンラインで学びやすい環境の整備が進むからというのもありますが、肝はそこではありません。オンライン学習で学ぶことに抵抗がない学生たちが、そう遠くない未来に大人になるということがポイントです。

時間のない社会人が学ぶために、オンライン学習は以前より注目されていましたし、実際、優良なコンテンツもたくさんあります。でも思いのほか、これらコンテンツは受容されていません。大きな理由の一つは、大人は急に変われない、というところだと思います。対面授業でずっと学んできた人たちにとって、オンライン学習のイメージは湧きにくく、人によってはオンラインであること自体がすでに大きなハードルなのだと思います。

しかし、これからしばらく先に社会人になる人たちは、学生時代にオンライン学習に慣れ親しんでいるかもしれない。そうなれば、興味の有る無しや要不要という基準はあるにしても、学び方部分のハードルは大きく下がるはずです。これまでのリカレント教育は、どのような教育内容や仕組みであれば社会に受け入れられるのか、という視点でよく語られていました。しかし、今回は、受け入れる土壌そのものが変わっていくかもしれないのです。

18歳人口が減っていくなか、大学業界は留学生と社会人を受け入れていかないことには未来はないと、ずっと言われ続けていました。大学もそれは重々承知で、トライ&エラーを繰り返していましたが、まだまだ模索中だったように感じます。それが、まったく予期しない災いによって、状況が変わるかもしれないのです。

今回、書いた内容は、極端な“もしも話”かもしれません。でも、新型コロナの影響で大学も社会も変わるだろうし、変化の方向性としては十分にあり得るだろうと思っています。さらに考えたくもないですが、このコロナ禍が長引けば長引くほど、このような変化が起こる可能性は高まるでしょう。起きたことは変えられません。なら、この状況をできるだけ前向きに受け止めて、よりよい大学や社会をつくる糧にしていく、そんな心づもりで動いていければなと思います。

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