見出し画像

Episode 241 彼女に言わせてしまうのです。

マンガや小説の世界というのは、ひとがひとを想い、それ故に愛し、喜び、傷つき、泣く…という私たちが日常生活で「普通」に経験するコミュニケーションの世界をドラマチックに表現するエッセンスであって、それ自体が私の生活に直結するものではありません…本来ならね。

小説を読んで、映画を観て、「いいなぁ、こういうの…。」なんて思うのは、私の生活ではなくて、誰かの生活の中で起こるエッセンスだと気が付いているからです…本来ならね。

本当なら最初からエッセンスであって、自分の経験ではない物語だと気が付いているハズのそのお話を、自分の経験不足を補う実体験と同列に扱ってしまった…私はね。

あなたは、私をどう思っているのですか?
物語の中では、私があなたを想う気持ちに対して、あなたは明確な言葉で答えてくれます。
当たり前ですよね、マンガや映画は基本的に三人称の視点ですからね。
独り語りの独白形式の恋愛小説って…あってもかなり特殊だし。

予定が立たなくなった私は、かなり弱気だったと思います。
共有する感覚は分かっても、彼女が何を共有しようと思っているのか分かりません。
手がかりにしていたはずの「物語」が、何の役にも立たないのです。
私の感覚では、私たちが歩いていく方向は間違えていない…でも。
今までおつき合いしてきた女性とは状況が違う、単純に電車に乗って駅に着くように話が進むわけではない…でも、進めたい方向は物語と同じ方向を指している…。

でも、でも、でも、彼女はどう思っているの?
ズルズルと彼女のペースでデートを重ね、時間を共有するという楽しみを「シェア」して、でも私たちの関係は初めて彼氏彼女が出来た中高生のそれのように、先に進みたいのにどうして良いかわからない…。

そして、ある日、彼女に言わせてしまうのです
「何しにあなたの家に来てると思っているの?」

私は相当の「ヘタレ」です。

旧ブログ アーカイブ 2019/5/13

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?