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Episode 322 小骨が抜けてジャンプします。

焼き魚を食べていて、小骨がのどに引っ掛かって…。
きっとみんな、一度くらいしたことはそんな経験をしたことがあるのだろうと思います。
水を飲んで流し込んでみたら…とか、多めのご飯で一緒に飲み込む…とか、なんやといろいろ試してみてなんてことは、きっと誰もが経験することなのだと思います。
あれ、イラっとしますよね…美味しいハズの食事がそこから急に色あせる感じ。
喉の奥がチクチクして、それから後の食べ物の味とか、あまり覚えてないことが多くてですね。

その小骨がのどに刺さる感じが「聞く」ということで起こるとしたら、どう感じますか。

私には聴覚過敏/鈍麻があって、聞くという作業には集中力が必要です
基本的には私の耳は「お留守」で、聞こえているのに聞いてません。
耳にはイロイロな音が正常に伝わっていて、キチンと鼓膜も動いていて、それを聞いてはいるのですが、音声とか楽曲として認識するには「聞きますよ」という脳内スイッチをonにしないとキチンと聞こえてこないのです。
一度「聞く」というスイッチを入れると、音声や楽曲が周りの雑音と一緒に耳に入り込んできます
テレビが点けっぱなしの状態でパートナーと会話とか、本当はあまり得意ではありません。
テレビの音声とパートナーの会話が被り、どっちも中途半端にしか聞こえてこないのです。
さらには、自分の言葉を脳内で作り上げるのにメモリを使ってしまうので、耳から入る音声を処理することが出来なくなってしまうことがあってね…。

それなら、テレビを点けっぱなしにしなければいいのでは…という正論は、会話の間が持たないという別の問題を生み出してしまうワケで、そこはまた一筋縄にはいかないのです。

そのタダでさえ得意ではない「聞く」という作業で、私は小骨が耳に刺さるようなことがあってですね…。
いや、本当に骨が刺さるわけではないですよ、小骨のような言葉が…という意味です。
それは「すばらしい」とか「うつくしい」とか「すてき」とか「かわいい」とか…意味が広いくて頻度の高い言葉が多くてですね、そのことばが「どのように」という部分が理解できなくて刺さる感じと言ったら良いのでしょうかね、そこが引っ掛かって「聞く」が薄くなってしまうのです。

耳に小骨が引っ掛かっているからといって、小骨にばかり気を取られて「聞く」が成立しないわけではありません。
ただ、のどに魚の骨が引っ掛かっている状態で食事をして、食事の美味しさが半減するようなのことと同じような感じが続くのです。

魚の骨がのどから抜けたのって、分かるじゃないですか。
「あ、抜けた!」
食事の途中の会話に急にそんな言葉が挟まっても、周りは一瞬「!?」と思っても、「あーごめん、魚の骨がのどに引っ掛かっててさ、取れた、良かった」って一言で状況を把握して問題なしですよ。
でもね…同じ感覚で耳の小骨が抜けた時に「あ、分かった!」って言ってみても、手元に目に見える魚があるワケではなく、周囲はその状況把握を出来ないのです。
ここで私の頭の中がタイムスリップしてしまうのですよね。

耳に小骨が引っ掛かって「聞く」の味が薄くなっている状態って、魚の骨がのどに引っ掛かっていて食事の味が良く分からないのと似たような状態なのだと思います。
脳内メモリの奥の方のバックグラウンドでひっかかりを取る作業が地味に行われていて、あるひらめきで意味を持った言葉として鼓膜を通過するみたいに引っかかった骨が抜けた時、味が薄くなっている今の「聞く」を消去して、会話を巻き戻して最初からスタートしてしまう感じ…でしょうか。
ASD者の噛み合わない突発的な話題って、こんな小骨が引っ掛かりが抜ける感じで起こるように私は思うのです。

「あれは、いったい、何だったのか…」
今の「聞く」に集中できない感じが続ている状態で、引っかかっていた小骨が抜けることで今の「聞く」がシャットダウンされて発想が巻き戻る…。
ASDの私としては、ずっと引っ掛かって引っ張って継続した想いがあって、骨が抜けたことでのスッキリ感が強くて、話題が突発的に巻き戻っていることに気が付いていません。
なぜならば、私の中では繋がっている話なのですから。
まぁ…周りからすれば、「なに?」って思うでしょうねぇ。

会社の仕出し弁当の魚の骨がのどに引っ掛かってね。
ふと、こんな話を思い出したのですよ。
私にはこんな風に話題がジャンプしてしまうことがあるのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/8/2

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