見出し画像

Episode 247 後悔先に立たずです。

ASD者と定型者のカップルがお互いに相手のことを思いやり「一緒に生活する」という合意を得て、実際に共同生活を始めた途端に上手くいかない…そんな話をたくさん聞きます。
私は、この「上手くいかない」の種類がふたつあるように思うのです。

ひとつ目は、お互いに「上手くいかない」を自覚しているケース。
ふたつ目は、「上手くいかない」を定型者だけが自覚しているケースです。

私は結婚当初、パートナーと共同で"Home"を作っていくことが出来ずに共同作業を放棄しました
私が求めていた"Home"はロボット掃除機の充電ベースだったワケです。
ところが自宅は静かに充電できるベースではなく、日々刻々と状況が変わる大草原でした。
仕事のようにビジネスというの部屋の中だけを考えるのではなく、枠がないだだっ広い草原にコタツがぽつんと置かれ、ダルそうに重たいカラダを抱えたパートナーがへたり込んでいる…どうすればいい、私?

私とパートナーの場合、パートナーが仕事を諦めて専業主婦になることを選択する決心をすることで、表面的には解決します。
でもそれは「お互いにどうしようか」と考えた合意の上での選択はなく、パートナーが自分の体調を考えた上で、自分だけの判断で出した答えだったのです。
基本的にはパートナーの「全てを受け入れている」私ですから、パートナーの出した答えに反対するハズはありません。

の後の顛末については過去の記事を読み返していただくとして、この時点で私たちの関係は対等ではなくなったように思います。
パートナーは、私にロボット掃除機の充電ベースを「譲歩」したのだと思います。
それはきっと、生まれてくる新しい命と自分自身を守るためだったのだと、今なら分かります。

パートナーが譲歩する形で結果的に上手く"Home"が回り始めた私は、やっと順調に家庭が回り始めたと「勘違い」します。
多分この時点で、ふたつ目の状況の完成です。

当時、私の仕事は絶好調
歪な形で完成した"Home"が壊れずに長続きしたのは、どんな時もパートナーに「逃げ込む穴」が残されていたことと、穴に逃げることを私が咎めなかったことです。

私は私自身がASDであるということを、2014年…結婚して18年たってから知ります。
家庭が上手くいっていると思い込んでいた私は、自覚のない典型的なASD夫だったのだと思います。
お互いが「上手くいかない」にシフトするキッカケは、私がASDを自認することでした。

もっと早く気づいていれば…。
私が発達障害の劣等感のない自認を強く訴えるのは、私自身のパートナーに対しての後悔があるからなのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/5/19

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?