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権利を盾にするのです。

国連の障害者権利委員会が障害児の分離教育の廃止などを求める勧告を出したのは、2022年9月のことでした。

国連の障害者権利委員会は9日、8月に実施した日本政府への審査を踏まえ、政策の改善点について勧告を発表した。障害児を分離した特別支援教育の中止を要請したほか、精神科の強制入院を可能にしている法律の廃止を求めた。勧告に拘束力はないが、尊重することが求められる。

livedoor NEWS より

私はこの時、日本の「人権に対しての意識」が世界標準から立ち遅れていること、だからこそ「人権意識について、何が遅れている原因なのか」を考えて手を打つことが大事なのだ…と指摘したのです。
それは、note記事「人権が土台になるのです。」に詳しく書いてあるので、そちらをご覧いただくとしまして…。

ところで、どうして日本よりも欧米諸国の方が先に人権意識が高まったのでしょうかね…。
レイ(@wagonthe3rd)さんが提唱する「日本社会はオーティスティックに親和的」という指摘を「なぜなぜ分析」の手法で解析してみる企画、その6回目のテーマこそがソレ、大陸的視点が人権意識を高く持つに至った理由の考察です。

自ら信じるものを曲げず、相いれない価値観とは対決 (または棲み分け) する大陸的視点とは異なり、島国的視点は、相いれない価値観を内包して、理解できる部分を都合良く解釈して馴染ませることに抵抗感が薄い…。
つまりね、和風文化は「置かれた立場を受け入れ、その現状において、自らの能力を可能な限り発揮しようとする性質」を持つワケです。

note記事「チェスと将棋の違いです。」より

前回のnote記事「チェスと将棋の違いです。」で私は、島国的視点を持つ和風文化の方が「異なる価値観を受け入れて馴染ませること」に抵抗感が少ないことを指摘したのです。
では対決姿勢が強い大陸的視点で、如何にして相いれない価値観と共存するのか…と考える必要が出てきたら、どうしましょう…。

私は学生時代から、少数派が生き残る知恵として自助・共助が生まれることを知っていました。
社会の支援は自助・共助がムーブメントとなって世論を押し上げることによって生まれるのです。
それは、日本に限った話ではない…アメリカの公民権運動だって、同性カップルの社会的な認知だって、その構造は変わらないと私は思います。

note記事「民意が先は当然です。」より

大陸的視点は、相いれない価値観の人々と対峙することがデフォルトであるということを数回にわたってお話してきたのですが、数的/経済的/軍事的に劣勢である立場の人が、優位な立場の人の配下でおとなしく従うだけだったのか…と問えば、それは否です。
そこで登場するのが、人類が平等に持つ正当な権利の主張…つまり人権ね。

人権(じんけん human rights)とは、単に人間であるということに基づく普遍的権利であり、「人間の生存にとって欠くことのできない権利および自由」とされる。
「対国家権力」または「革命権」から由来している。ブルジョア革命(資本主義革命)によって確立された権利であり、「近代憲法の不可欠の原理」とされる。
人権は人が生まれつき持ち、国家権力によっても侵されない基本的な諸権利であり、国際人権法 (international human rights law) によって国際的に保障されている。

Wikipedia「人権」より

詳しくは書きませんけど、この人権を現在の形に明文化するまでには、長くの年月がかかり、その年月の背景には多くの「非人道的な弾圧」があったワケです。
(興味のある方は、「人権 歴史」などのキーワードで検索してみると良いでしょう…その手のWeb記事や書籍情報に多数ヒットしますよ。)

人権は「1215年のイギリスのマグナ・カルタ(大憲章)にまで遡る」とするのが一般的で、その後、主に欧米諸国で発展した概念です。
その欧米諸国に暮らす人々が持つ視点は「大陸的視点」であり、異なる宗教観/思想や文化を持つ異民族を「相容れないもの」として排除するのが基本である…ならば、抵抗するためには「盾として排除されないための権利」を主張しなければならなかったと考えるのが妥当です。
「人権」という概念はそのようにして誕生した…大部分をすっ飛ばした答えですけれど、つまりそういうことです。

その人権という概念誕生の視点から考えるに、「大陸的視点」の特徴を改めて言えば、あなたと私は別の人であり、生きていくための権利を行使して自分で生きることを求める…ということです。

ここまで6回にわたってクドクドと、欧米/中東/中華圏で標準的な「大陸的視点」と、日本文化で標準的な「島国的視点」の差についてお話ししてきました。
そして次回(おそらく)最終回。
「この視点/文化から覗く、それぞれの地域における Autistic(自閉の民) への視点対応の差をどのように理解するか」…(つづく)。

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