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Episode 713 イワシの群れを作るのです。

ここ2回ほどのnote記事は、フレデリック・ラルー氏が示した「組織の発達段階」に絡む「ダイバーシティ」のイメージが、(発達)障害者に係る環境の理解にとても役に立つ…というモノでした。

ひとつ目は企業活動という「経済的視点」からの「ダイバーシティ」のイメージで…

もうひとつは障害者福祉にかかわる「人権問題」からの「ダイバーシティ」のイメージです。

経済的視点に立っても、人権問題の視点に立っても、人間の営みの進化の方向として「ダイバーシティ」が提唱されていくのは「組織の発達段階」の理解を進める上で必然なのだ…というのが私の見立てです。
但し、「レッド→アンバー→オレンジ→グリーン→ティール」という発達段階をスキップすることは難しいだろう…とも私は思っているのです。
「ダイバーシティ」の発想は「グリーンの組織」で効果を発揮するとすれば、社会が「グリーンの組織」の感覚を持つことが「ダイバーシティ」の必須条件になるだろう…と。

ティール組織とホラクラシーの違い」より

何れにしても、日本は「アンバー組織」から「オレンジ組織」への進化中なのだ…というのが前回までのお話。
だから「オレンジ」になり切っていない状況に「グリーン」な思想を注入しても、適切な理解はされないだろう…というのが私の意見。
この意見の元になっているのが、東欧諸国の共産主義革命の失敗である…というのは、何度もお話したので省略…でも、好きなのですよ、このハナシ。

ただね、「組織の発達段階」をスキップすることは不可能でも、「巻く」ことは可能ではないか…とは思っているのですよね。
西欧諸国がオレンジからグリーンに進む段階にあるのなら、お手本は既に存在する…追いかけるのは日本のお家芸ですからねぇ。

ところで、私は本州日本海側の政令指定都市で発達障害の自助会を運営しているのですよ。
その自助会について、先日こんなnote記事を書きました。

掻い摘んでお話しすれば、自助会は自らの気付きを得る場所で、あなたに気付きを与える場所ではないよ…ということ。
だから自助会に参加される方を主催者が指揮することは出来ないし、参加者が主催者に対して救いを求めても問題の解決はしないのだ…と。
つまりね、自助会は組織に見えて、フレデリック・ラルー氏が示した「組織の発達段階」に現状で当てはまるものはないワケ。
それは、共通の目標に向かう意思が、自助会には存在しないから。
少なくともグリーンの組織までは「共通の目標」が必要だとしたら、自助会は組織として馴染まないワケですよ。

プロ野球の選手たちが強力なチームを目指すのは何故か…と考えたときに、そこのベースにあるのは「関係性の共有/共感」ではなくて、「価値観の共有/共感」ですよね。
チームの勝利という共通の目的に向かう「価値観の共有/共感」のもと、チームとしての関係性が生まれるワケ…この順番は重要です。

振り返って自助会のハナシです。
自助会というのは「自助」ですからね、チームとしての達成を目的としているワケではないのです。
ですから、参加する方も当然、チームの目標達成を目的としていません。
そこに親睦という「チーム性」が高い項目を放り込むとどうなるか?

note記事「それは「冷たい」ではありません。」より

実はこのnote記事を書く「前振り」になる X への POST がありましてね。

石橋(@ihi1484)さんのこの POST、その通りだと思うのですよ。
私はその理由を、何とかして説明してみたかったのです。
この POST を説明するのに、3回分の記事を費やしました。
この POST の理解には、「組織」とは何か、その組織の「発達段階」とは何か、日本の現状認識をした上で、「自助会の連携とはどういうモノなのか」を考える必要があるということです。

そのひとつの答えとして、共通の目的(課題) を指定しない「集合体」を目指すということなのだろう…と私は思います。

目標達成型の組織は、ひとつの目標を達成することで、その対価を得るワケですよ。
ところが自助会は「チームとしての目標達成を主眼にしている組織ではない」とした時に、どうやって共通の目標達成へ向けてモチベーションを作り、保っていくのか…が、大きな課題になるワケね。
だから、今の社会で考えられる「レッド~グリーン」に至る社会の一般的な組織のイメージで組織化してはいけない…と。

石橋さんは、その構造を見透かして…
「自助会や当事者会が連携していくのは難しさがあります。基本的には連携できないと思っておく方がいい。」
…と仰ったのだろうと思います。

自助会の連合体を作るなら、従来型のヒエラルキー組織は難しいでしょう。
だからこそのティール組織…具体的には、個体は無関係でバラバラでも、群れを成すことで大きな存在感を示すイワシのようなものを目指すのがベターなのだと、私は思うのです。


話題にした「ティール組織」の詳細は、こちらから。

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