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Episode 292 「パンドラの匣」の希望です。

パートナーは「つっけんどん」な言葉を言う時があります。
きっと結婚した当初から、何かにつけて「イヤミ」を含んだ刺さる言葉を私に投げてきたのだと思います。
ASDの私はその棘に気が付かず、あとから振り返って「この傷は何だろう?」と思ってみたり、チクリと感じた瞬間に全力で振り払っていたり、刺されながらも平然と放置していたり…。
いずれにしても、その棘に刺さって大出血した記憶が私にはありませんでした。

その小さく刺さる言葉は、きっと「私の気持ちを汲んでよ」というサインだったのだと思います。
そして、それは諦めでもあって、「言っても効かないのは分かっているから、せめて愚痴らせて」という不満をため込まない捌け口だったのだとも思います。
今回もきっと、そうでした
いつもなら、刺さっているのかいないのかも分からない、蚊が血を吸うみたいな話だったのかもしれません。

ところが、今回は違ったのです

私はこのブログを書き始めて、自分自身と向き合って、
それを読んでくださる方がいることに喜びを覚え、
SNSを通じて意見を交換し、
当事者会を立ち上げて、
私自身のASDとしての気持ちを進化させてきたつもりです。

書き始めた2018年9月と今の何が違うかと言えば…。
おぼろげだった自分の考え方の輪郭を掴み始め、パートナーと子どもたちや仕事のことを振り返り、自分の失敗や嫌な部分を晒し、そして「おひとりさま」の自分を確認したということでしょう。
どんなに頑張っても「月の住人」で「地球人」じゃない、「地球人」になれないということです。

でも間違えてほしくない、これは「地球人」になれないことを悲観しているのではないのです。
私は「月の住人」でかまわない、それこそがASDという自分そのものなのだから。
だから、私という「月の住人」のアイデンティティを作ろうと思ったのです。
それは「地球人だと思い込んだ月の住人」の地球人としてのアイデンティティではありません。

私が地球人とのズレを認めることは、自分の気持ちが標準的な地球人とイコールで繋がっていないことを認める作業です。
今回、パートナーの地球人としての棘に気が付いてしまった…。

それは、パートナーの寂しさの裏返しだったことに気が付いてしまった。
宇宙人に効かない棘のハズが、ズレを探している私の開いた部分にザックリと刺さる。
刺された私が痛みに驚き、刺したパートナーが出血に驚く。
なんでこんなことに…。

悲しくないように探してきた探し物が、悲しみの原因を作るとは。
神様が試練を与えるとすれば、こんな「パンドラの匣」みたいな試練は要らないよ。

でも、凹んでばかりでは、いられないのです。
せめて最後の希望に願いを込めて。
今日からまた前を向かないと…と、思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/7/3

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