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Episode 273 アイデンティティが大切です。

角野栄子さんの児童文学作品「魔女の宅急便」は、1989年に宮崎駿監督がスタジオジブリ作品として制作したアニメーション映画で有名です。
私はジブリでアニメーション化されたこの作品が大好きでね。

公開当時は私は大学1年生で、ひとり暮らしを初めて直ぐのころで、主人公キキのように知らない街でひとり暮らしを始めたところだったワケです。
「暮らすって物入りねぇ…」とか「しばらくホットケーキで…」とか、なんか経験したような気がすることがポツポツで出てきて、変な親近感を感じたりしてね。

この映画についての解説は不要ですよねぇ…。
誰もが知るアニメーション映画のひとつ、キキが成長していく姿がイキイキと描かれた名作…という表現で良いんでしょうね。
そこから先はそれぞれが自分の感性で映画を楽しめば良い。
数年おきにテレビで放送され、内容は分かっているのに思わず毎回見てしまう…。
それこそが名作の名作たる所以なのでしょう。
そして、私は見るたびにイメージが変わっていく作品という印象も受けるのです。
しかも、私がASDを自認してからは、その見方が大きく変わったのです。

気がついてますか?
この作品、そもそもの設定が「知らない街でひとり暮らしをするマイノリティ」なのです。
ひとつの街で魔女が住むことを許されるのはひとりだけ。
「この街で魔女としてのアイデンティティを獲得しなさい」…それが修行の内容です。

住むことに決めた海に囲まれた大都市「コリコ」で、キキが真っ先に経験するのは魔女が住んでいるかの問いに応えない人の冷たい態度、初めて経験する街でのルールやマナー。
どうしてよいか分からずにグーチョキパン店の前でへたり込む…。
箒で飛ぶという魔力を失いかけ、悩み、そして、光を見出す。
そこには応援してくれる仲間との交流があってね。

映画としては短い部類の100分程度の作品。
その100分に込められたメッセージは、公開から30年を経て、今なお私に新しい発見を与えてくれるのです。

「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」
糸井重里氏による、このコピーに唸る。
そうか、マイノリティであることに対してのアイデンティティか。

認める、前を向く
全てはそこからだと、今はこの作品を見て、そう思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/6/14

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