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読書感想「木曜日にはココアを」

※ネタバレ含みます

この本は偶然本屋さんで見かけて購入しました。雑誌ダ・ヴィンチ主催のレビュアー大賞の課題本のようで、そのラインナップの中から特に気になったのがこの作品でした。レビュアー大賞に応募しようとは思っていませんでしたが、その特集で平積みされていたからこそ見つけることが出来たわけで。ここ最近はネットで情報を得てから買ったり、電子書籍を利用したりすることが多かったので、本屋さんでの偶然の出会いも良いものだなと改めて思いました。

作品自体の話にうつりますと、「木曜日にはココアを」は連作短編集で、一つ一つの話につながりはないものの、その中に登場する人物には何かしらのつながりがあったりなかったりします。

読んでいると、静かにゆっくりと時間が流れているような感覚になって、とても読み心地が良いです。

私が特に印象深かったのは、シドニーに住むメアリーと日本に住むマコの話です。日本人のマコがメアリーの家にホームステイしたことで出会った二人。そんな二人が前世では姉妹だったと。病に冒されているメアリーは前世でも病気がちだった妹で、手術の最中その記憶を見ます。前世では手放してしまった生を、メアリーは現世でのマコとの約束を胸に無事手術は成功。

ホームステイ中はオーストラリアの春を象徴する花を二人で見て、日本でも病気で渡航が難しかったメアリーがそれを治して桜を二人で見ることができた。そのラストシーンと二人の絆にとても感動しました。

全ての話が、読むと優しい気持ちになれる温かい作品です。心が寂しいときに是非読んでみてください。

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