水源の森、川の生まれるところ、未来のヴィジョン
きのうの朝、ゴミを出しにいったときにぱったり出会ったひと……その方は町にしばらく滞在し、数名の仲間と共に森に通って調査か何かのようなことをされている……と風の噂で聞いていた。それで「どんなことをされているのですか?」と尋ねると、「きょうの午後、知人を森に案内するので一緒にいきませんか?」と誘ってくださった。
午後、軽トラックに同乗させていただき、やってきたのは山の分水嶺……わたしの住む漁村の海に注ぐ川の最上流部だった。グループの皆さんはそこで、生物多様性の森をつくるというテーマで助成金をもらい、試験的な試みを3か月間やってきたのだそうだ。そして、きのうは試行錯誤と努力の成果を、支援してくださった方々に公開する日であった。
大人12名、子供5名が水源の森に集った。
森は間伐材が乱雑に放置され、かなり荒れていたらしい……が、土砂に埋まった林床を掘ると、ちょろちょろと水が湧きだしてきたのだとか……
そこから谷筋に沿って小川をつくると、前はいなかったカエルやイモリ、アメンボなどが現れてくるようになったという。放置されていた間伐材は景観を損なわない形で土留めに使い、余った材は モキ製作所の無煙炭化器 で炭にして土壌改良剤として使ったそうだ。
水は山の血管、土は筋肉……水の浸透力が増すことで、土中に酸素がたっぷりゆきわたり、微生物叢 が豊かになってゆく。
たしかにそこは、他の人工林とは匂いが違った。
杉やヒノキの人工林も、人手をうまく入れて整えると、さまざまな生命を育む豊かで美しい場所になる。
山のピークからみたわたしの住む町の入り江。
冥王星が水瓶座に入るタイミングで、水源の森に案内されたことは偶然ではない……自給自足する小さなコミュニティが持つポテンシャルの高さ、自然の恵みの豊かさ、林業に活かせる馬搬のことなど………森の中でいろいろ話した。
爽やかな風が吹き抜けた午後……
これからやるべきことがみえてきた。子供の頃にみていた夢が叶うような……そんな予感がする。