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〜淡い恋〜⑤
12月24日 0:00ちょうどを指した頃
真夜中の静かな家に鳴り響いた電話の着信音。
えっーーー!?
ベッドから飛び起きるとリビングと急いで向かった。こんな真夜中に家の電話が鳴るなんて、間違いなくあたしに用事がある以外他にないのだ。
自分の部屋へ急いで電話を持っていき、受話器を取って耳に当てれば「はい」と言うことも忘れて電話口から聞こえてくるものをしっかりと聞きながら、あたしの頬に静かに涙がつたった。
そう、あたしの耳元で流れている曲はあのB’Zのいつかのメリークリスマス。
電話口から流れてくるその音楽に、とめどなく溢れ出す涙・・・・・・。もはや声を押し殺すことも不可能で真っ暗な部屋で声を出してただ、ただ泣いた。
『コンコンーーー。』
えっー?耳にあてていた電話から、ツーツー。と機械的な音が聞こえたと思えば、玄関に1番近いあたしの部屋にドアを叩く音が響いた。
だれ・・・・・・!?
そう思いながらも、勢いよく玄関のドアを開ければそこにはダイスケがいて「メリークリスマス」と、少しだけ照れ臭そうに笑いながら、後ろから小さなケースに入っているクリスマスツリーをあたしに差し出してくれた。
「ダイスケ・・・な・・・ん・・・・・・で」
差し出された小さなクリスマスツリーを受け取ると涙が止まらなくて、ダイスケの顔を見ることさえもうできないでいた。
「泣かせるためにやったんじゃないんだけど」少し笑いながらそう言ったダイスケは「泣くのは終わりな」とあたしの頭をグシャッと撫でてくれた。
「分かった、ありがとう」そうダイスケを見上げたあたしはきっと酷い顔をしていたに違いない。そんなあたしに優しい顔で笑っていた。
「お前のサンタクロースだよ」
そう言いながら手を挙げて、ダイスケはあたしの前からいなくなっていった。
そのダイスケの後ろ姿を見ながら、小さなクリスマスツリーをギュッと抱きしめた。
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