マガジンのカバー画像

KnightandMist

91
たぶん小説になる予定。今書きためているところです。 あらすじ 浪人し、就活も失敗し、あとがない主人公浅霧遥香。 そんなある日、彼女に異変が襲った。 それは今流行りの異世界転生…
運営しているクリエイター

2022年4月の記事一覧

Knight and  Mist第十章-5 遠くの笑い声

Knight and Mist第十章-5 遠くの笑い声

「声かけられたからあえて言うけど……露天風呂でイチャコラしくさって! でもあんたもさ、大怪我したんだから見逃してあげてたわけ! 邪魔はしないわよ!」

イスカゼーレの姫、アザナルが言った。どうやら通りがかっただけでセシルに咎められたことを不服に思っているようだ。

考えてみれば、露天風呂でハルカとセシルふたり、聞きたいことがあるからだとはいえ、まわりからしたらイチャついていると思われても仕方ない。

もっとみる
Knight and  Mist第十章-4露天風呂とデザート

Knight and Mist第十章-4露天風呂とデザート

「はい、どうぞ。限定ジェラートとソルベとあとジュース。あとフルーツ盛りだくさんプレートはここに置いておきますから適当につまんでください」

何やら名前から豪華そうなものを次々手渡され、セシルが露天風呂に入ってきた。すでに露天風呂に浸かっていたハルカの横に座り、セシルは伸びをする。

ハルカはその横でジェラートを頬張る。温泉に入りながらのジェラートは格別である。溶けて口の中に残るフルーツの味。まさに

もっとみる
Knight and  Mist第十章-3 お姫様と婚約者

Knight and Mist第十章-3 お姫様と婚約者

あらためてミルフィとリキと挨拶をする。おんぶされたままで。

「上からごめんなさい」

ハルカが頭を下げると、ミルフィはニッコリ微笑んだ。

「頭が高いわよ♡」

「…………」

ちょっと可愛く言っているがおおよそアンディと同じ感じだ。

危険を感じ、ハルカは無言でセシルの背の裏に隠れた。そういえばセシルからいい香りがする。たぶん乳香か何かだろう。

それから、セシルの陰から二人を観察する。

もっとみる
Knight and  Mist第十章-2湯けむりファンタジー風呂

Knight and Mist第十章-2湯けむりファンタジー風呂

「わーい! 温泉、温泉!」

王都でも一番大きな広場に面した温泉を前にして、テンションが上がるハルカとキアラ。

それは大理石でできたテーマパークのようで、完全にレジャー施設。たぶん古代ローマ帝国のテルマエみたいなものなのだろう。

王都は水道もちゃんとしてるし、水洗トイレだし、みんな風呂好きで清潔なので現代人のハルカにとってはありがたいことであった。

そしてこの温泉。現代で言うところの水着を着

もっとみる