マガジンのカバー画像

KnightandMist

91
たぶん小説になる予定。今書きためているところです。 あらすじ 浪人し、就活も失敗し、あとがない主人公浅霧遥香。 そんなある日、彼女に異変が襲った。 それは今流行りの異世界転生…
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

Knight and  Mist三章-3 宴の前のひととき

Knight and Mist三章-3 宴の前のひととき

「では、みなさん移動しましょう」

ブラムは何か用事を言いつけられ、こちらを睨みながら去っていった。

そしてハルカたちはラメール先導のもと、館の中庭を横切り、客間へと案内された。

ラメールの絹の裾が床を擦るさやさやという音が響く。それに伴い樹木が風に揺れて音を立てた。

不思議な感覚だった。

そこは戦いを目的とした砦や城とは違う。

華美というほどではないが、ハルカが今まで見たこともないほど

もっとみる

Knight and Mist三章-2 エルフの里は良い処 風光明媚で音楽も美しい さぁ、皆さんお泊まりはぜひエルフの里で!

「もう良いぞ」

森の中を行くときは、ハルカたちは頭から袋をかぶせられていた。

(セシルが地図を持ってるから大丈夫か…)

などと道中考えていたものの、地図が出鱈目だという話が耳に入ってきた。

セシルもそれに対してしれっとしたもので、

「こういうものでもなきゃ普通の人はエルフの森なんて入りたがらないでしょ」

などと言っている。セシルは最初から拉致されてエルフの里へ行くつもりだったらしい。

もっとみる
Knight and  Mist 三章-1 エルフというもの

Knight and Mist 三章-1 エルフというもの

シルディアたちは、ハルカたちを"父上"のもとへーーエルフの村へ連れて行くのに、ヒッポグリフに乗せて連れて行くようだ。

シルディアいわく、

「人間は足が遅いし、足音が大きいし、調和を乱すことしかしない」

からだそうである。

ハルカはヒッポグリフを上から下まで眺めた。

グリフォンとそっくりだったが、グリフォンは鷲の頭に獅子の下半身、こちらは下半身が馬だ。

ヒッポグリフも何か感づいたようでハ

もっとみる
Knight and  Mist 二章-6 エルフ             のお姫様!?

Knight and Mist 二章-6 エルフ のお姫様!?

シルディアと名乗ったエルフは燃えるような美しい赤毛だった。

どこか儚さを漂わせるリルや、芯の強いレティシア、さらには狂犬と呼ばれていたイーディスとも違い、凛とした佇まいの美しい戦士だった。

……とても小さかったが。

遥香も背が高いほうではないが、それよりもっと低い。

遥香はかがみ込んでシルディアを見つめ、ニコッとした。

遥香がまじまじと見ていると、シルディアはサラサラな赤い髪を振り乱しな

もっとみる