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2021年1月の記事一覧
【小説】私が食べたかったもの
とにかく、我が家の中心にいるのが妹の亜実であることは間違いない。わかってはいたけれど、十二歳の誕生日、私はそのことを痛感した。
私より二歳下の亜実は、生まれたときから体が弱く、しょっちゅう入退院を繰り返している。未熟児で生まれ、身体の機能がいろいろなっていないところが多いらしい。
両親とも、亜実のことについてはいつも必死で、亜実のわがままを「この子は長く生きられないかもしれないから」と、聞いて
【小説】薄いコーヒーを飲みながら
車の修理を待つあいだ、店内フロア一角の休憩室にそなえつけられた無料のコーヒーサーバーでコーヒーを淹れる。紙コップを置いてボタンを押すと、あっという間に液体が中に溜まっていった。ボタンが消灯したのを確認して、三咲は紙コップを手に取る。コップに触れる指先が熱い。
休憩室のなかには、柔らかい素材のブロックで囲まれた幼児が遊べるスペースもあって、娘の凛音はさっきから置いてある絵本に夢中だ。おとなしくして