下駄(げた)の現実逃避

今日、けた違いの下駄を購入、
購入先は下駄衛門という店。

店へはいると、けた違いのお年の
おじいさんがこっくり、こっくりしていた。

下駄をみていると、興奮してくる
おや?お腹がいたくなってきた。
ぼくはさっき、けた違いの量のカキ氷を
食べたんだった。

お手洗いにいきたい。
おじいさんを起こして、トイレを借りなきゃ。
でもおきない。
おこしたい。起こせない。

すると店の奥からおばあさんがやってきた。
のれんをくぐって、
けたちがいの背の低さだ。

「すみません、お手洗いを貸してくれますか?」
そういったのに、
聞こえなかったのであろうか。
おばあさんは下駄衛門自慢の
下駄をすすめてきた。
いよいよけた違いの値段だ。

お腹がますますいたくなってくる。
でも、なぜか、
下駄の木のかほりと、渋い色合いの
鼻緒をみているうちに
お腹の具合が落ち着いてきた。

そこでぼくはそのけた違いの下駄を購入した。
おばあさんのけた違いの
とびっきりの笑顔に負けたから。

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