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#story
ネオ・カンガルー日和
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めまぐるしい日々が続いていた。
僕は大学の仕事を辞めて、地元の小さなデザイン会社に再就職したところだった。友達がようやく軌道に乗せた会社で、猫の手も借りたいくらい忙しかった。十六分音符が並んで真っ黒になった楽譜を目で追っているみたいだった。忙
THE SUMMER ENDS
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ハングルで書かれた小説の翻訳本を図書館で借りた。ページの端が黄色く日焼けした古い本だった。
蒸し暑い日の午後だった。本を借りた帰りにコンビニに寄って買った、かき氷スタイルのアイスを食べながらページを繰ると、硬く乾いた紙が指の水滴を吸って柔ら
バックシート・フェアウェル
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◆
「おいでよ」
トクサはいつもそう言って私を誘った。そうとだけ言われることが、私にとって一番効果的だと知っていたからだ。
最初のときのことをよく覚えている。トクサと二人、夜中まで携帯電話のメールで話をしていた。
多分映画とか音楽の話をし
ミントチョコアイスバーの嵐
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暗いコンビニの駐車場でミントチョコアイスバーを食していた。
「どうしてそんな薬臭いものが好きなんですか」
「何だか歯磨き粉を食べてるみたいじゃありませんか」
「案外かわいらしい食べ物が好きなんですね」
と、これを人前でぺろぺろやっていると言わ
あとをつけて殺してほしいの
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僕は街を浪費している。
昼前に目覚めると、頭の中に呪いみたいにそのことばが張り付いていた。理由はわからない。確かにその可能性はあるのだろうけど、何故僕だけがそんな風に思わなければいけないのだろう。
久しぶりにカーテンを開けると隣のホテルの壁だっ
バナナのない世界にて
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バナナがこの世から無くなるかもしれない、という話を耳にした。
「知ってる?バナナって無くなるらしいよ」
シーツに包まった彼女は、独り言のようにそう言った。何だかこの人の身体も見慣れてきたな、と思いながら交わった夕方のことだった。彼女は
Frog Portrait
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敷地の中に小川が流れている。小川と言ってもほんとうにささやかな川だ。そんな小川がほつれたように、さらにささやかな小川へと分かれている。どこから流れてきている小川なのか知らないが、敷地のすぐ裏手には蔵王山系が連なって聳えているので、奥深い山の上か