平ゆずる

北欧に、長い間、家族旅行、調査、取材、添乗などで通ってきました。コロナ禍で行くことがで…

平ゆずる

北欧に、長い間、家族旅行、調査、取材、添乗などで通ってきました。コロナ禍で行くことができなくなり、これまでに体験したことをまとめていきたいと思い、パソコンに向かっています。少しずつです。

最近の記事

北欧ウォーク13 ストックホルムの建築文化財と福祉の上手な組合せ

ストックホルム自治体の北のはずれ、いまの中央駅から北へ1kmあたりの東西の地域ヴァーサスタンは、数年前に近郊電車と地下鉄の乗換え駅ができ、大いに賑わっています。1900年前後に建てられた庶民的な住宅が多く、駅の周辺の1階には商店やレストラン、バーが軒を連ねています。童話作家のアストリッド・リンドグレーンはこの地域の中心地のアパート、1階にフランス料理店がある建物に作家になる前の1941年に入居し、2002年に亡くなるまで住んでいました。いまは博物館になっています。 リンドグ

    • 北欧ウォーク12 サバツベリィから学んだストックホルムの福祉

      ヴァーサスタン地区ストックホルムの北のはずれ、いまの中央駅から北へ1kmほどの地域ヴァーサスタンVasastanは、数年前に近郊電車の乗入れ駅ができ、大いに賑わっています。1900年前後に建てられた庶民的な住宅が多く、駅の周辺の1階には商店やレストラン、バーが軒を連ねています。童話作家のアストリッド・リンドグレーンはこの地域の中心地のアパート、1階にフランス料理店がある建物に作家になる前の1941年に入居し、2002年に亡くなるまで住んでいました。いまは博物館になっています

      • 北欧ウォーク 11 フィンランドで出会ったロマ

        北欧のロマフィンランドではロマの姿をよく見かけます。ほかの北欧諸国でもロマは住んでいますが、フィンランドのロマ女性は、伝統的な裾の長い服をいまだに守り続けているので、一目見てロマとわかります。これまでに、繁華街で、列車の中で、ストックホルムと往復するバイキングラインの船の中で、実に多くのロマに出会いました。 ロマの女性は、15歳になるとロマの伝統服を着るか着ないか選択を迫られるそうです。着ることを選べば、一生ロマ服で過ごさなければならないという決まりがあるらしい。美しい服ゆえ

        • 北欧ウォーク 10 ストックホルムの再開発地区 5分間の無料クルーズ

          スウェーデンの首都ストックホルムには、いくつかのユニークな交通機関があります。そのひとつ、ハンマルビィショースタッドのフェリーはわたしのお気に入りです。 ハンマルビィショースタッドは、かつては中小企業の工場が立ち並ぶ工業地帯でした。20世紀末に多くの工場が、人件費が安いポーランドやトルコなどに移転しました。その跡地が再開発されて、中流のしゃれた住宅地として人気を得ています。建設はとどまることなくいまも続き、隣接するナッカ自治体の新しい住宅地区ともつながろうとしています。次世代

        北欧ウォーク13 ストックホルムの建築文化財と福祉の上手な組合せ

          北欧ウォーク 9 デンマークの風通しのいい刑務所               

          コペンハーゲンは魅力がいっぱいの都会です。アンデルセン童話の時間そのままのような町並みや、中世の城や港、バレエやオペラ、食事やビールが楽しめ、だれもが好きになることでしょう。  そしてびっくりもさせてくれます。たとえば、家庭内暴力を受けて苦しむ家族の避難場所が、中央駅から1kmほどの市内の目立つところにあります。150年ほど前に建てられた元王妃の館ですから、観光名所になっていいようなところ。逃げた妻を探すDV夫に、すぐ見つかりそうな建物です。これについては、またいつか書かせて

          北欧ウォーク 9 デンマークの風通しのいい刑務所               

          北欧ウォーク 8 ストックホルムのレバノン料理店で

           10年ほど前から、ストックホルムの街を歩いていて、レバノン料理店の看板が目つくようになりました。いやもっと前からあったのかもしれません。いまでは50を超す店があり、わたしも数年前から、ストックホルムに行くたびに1回はレバノン料理を口にするようになりました。  古い話ですが、1972年にロンドンからエジプトのカイロに飛んだことがあります。レバノン拠点のミドルイースト航空の便で、経由地のベイルートに3泊しました。当時のベイルートはフランスの影響下にあり、ビーチ沿いにレストランや

          北欧ウォーク 8 ストックホルムのレバノン料理店で

          北欧ウォーク 7 校長先生は男性家庭科教員

          フィンランドの首都ヘルシンキ郊外にある、基礎学校を訪問したときのことでした。ここでは就学前学校から9年生までの生徒、さらに軽度の発達障害児が学んでいました。訪問の目的は、発達障害児の授業を見学することでした。男性の校長が玄関ホールで迎えてくれました。あいさつもそこそこに、おっしゃいました。「残念ながら、今日は発達障害児の担任が欠席したので、授業はお見せできません」 あっけにとられる私たちを横目に、「こちらへどうぞ」と案内してくれたのが、調理の授業でした。このクラスは健常児だけ

          北欧ウォーク 7 校長先生は男性家庭科教員

          北欧ウォーク6 ヘルシンキの核シェルターは 子ども時代からなじみの場所

          ☆日本の防空壕 防空壕。過ぎ去った過去の言葉のように思えます。太平洋戦争末期に、敵の空爆から隠れるために、地面や崖に掘った穴。敵とはアメリカ軍。戦争をはじめたのは日本政府。民間人を戦地に送り、さらには本土で死なせていく、日本政府を降伏させるために、米軍は日本の国土を爆撃しました。爆撃から身を守るため、人々は防空壕を掘りました。いまも8,000近い残骸が残っているそうです。神奈川県横浜市の、「コメダ珈琲店子どもの国」の前の崖に残る防空壕を見たことがあります。人の胸ほどの高さの穴

          北欧ウォーク6 ヘルシンキの核シェルターは 子ども時代からなじみの場所

          北欧ウォーク 5 585万のためだけじゃないデンマーク語劇場 王立劇場③

          コペンハーゲンの3つの王立劇場3つの劇場とは、言葉と身体で考えを語る演劇劇場、音楽と歌で世界を創るオペラハウス、人の舞いで心を表すバレエ芸術の古典劇場。どれも1673年に掘られたニューハウン港の近くにあります。 劇場のシーズンは8月末から長くて6月初めまで。 ☆ デンマーク語演劇劇場 オペラの建設はかなり評判でしたが、演劇劇場の建設はあまり話題に上らなかったようです。話題性には負けても、ニューハウンから海峡へ出ると、左手に建つ平屋根の劇場と、その前に広がる木製のテラスの

          北欧ウォーク 5 585万のためだけじゃないデンマーク語劇場 王立劇場③

          北欧ウォーク 4 水上バスで訪れる音楽劇の世界 コペンハーゲンのオペラハウス 3つの王立劇場②

          コペンハーゲンの3つの王立劇場 コペンハーゲンの王立劇場は、ここで取り上げる音楽劇芸術中心のオペラハウス、150年の歴史を持つバレエ芸術の古典劇場、デンマーク語の演劇芸術劇場の3つ。どれも17世紀に掘られたニューハウン港の近くにあります。古典劇場はコペンハーゲンの劇場①を、演劇劇場はコペンハーゲンの劇場③をお読み下さい。 劇場のシーズンは8月末から長くて6月初めまで。 ★オペラハウス この劇場は、デンマークの海運会社のエーピー・ミラー・グループ(日本でも港湾地区でMAERS

          北欧ウォーク 4 水上バスで訪れる音楽劇の世界 コペンハーゲンのオペラハウス 3つの王立劇場②

          北欧ウォーク 3 ロマンティック・バレエの博物館 コペンハーゲンの古典劇場 3つの王立劇場①  

          ここに取り上げるのは、150年の歴史を持つバレエ中心の古典劇場、今世紀に建てられたオペラハウスと演劇劇場の3つ。どれも1673年に掘られたニューハウン港の近くにあります。 ミュージカルは、唯一の民間経営の新劇場(1908年建造)が専門に上演しています。ここで見た「オペラ座の怪人」は、わたしの中ではNYやロンドンのプロダクションよりよかったと評価しています。 どの劇場もシーズンは8月末から長くて6月初めまで。 王立古典劇場☆ つないでいくことの大切さ 旧市街の中、コンゲンス・

          北欧ウォーク 3 ロマンティック・バレエの博物館 コペンハーゲンの古典劇場 3つの王立劇場①  

          北欧ウオーク2 スウェーデンの元受刑者支援民間組織KRIS 北欧ミステリーの舞台を訪ねて

          スウェーデンの警察小説『ロゼアンナ』を読んでから、北欧ミステリーの虜になりました。 同じ作者の『サボイ・ホテルの殺人』を読み、いくつかの作品の舞台を、船と鉄道で巡りました。 ヘニング・マンケル作『殺人者の顔』以来、ヴァーランダ警部シリーズの舞台になった古都イスタードは、3回も訪問しました。 10年ほど前、ベリエ・ヘルストロムとアンデッシュ・ルースルンドの共作『制裁』に出会い ました。幼児虐待被害者が幼児虐待者になり、それを憎む人が制裁したら、その人も誤解から刑務所で殺される、

          北欧ウオーク2 スウェーデンの元受刑者支援民間組織KRIS 北欧ミステリーの舞台を訪ねて

          北欧ウオーク 1 ストックホルムの不登校児対応学校は子どもの未来を見ている

          このコラムを書こうと思ったのは 「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」 「不登校の大半は親の責任」 先日、日本の人口11万余の市長がこんな発言をし、話題になりました。 すぐに教育関係者や親たちから、強い批判を受けました。 市長は謝罪しましたが、発言は取り消されなかったので、自信をもって語ったのでしょう。でも、こんなことは言うべきではありません。不登校の子どもたちをしっかり社会に引き上げます、というのが市の行政をつかさどる立場の人の言葉ではないかと思います。 この発言

          北欧ウオーク 1 ストックホルムの不登校児対応学校は子どもの未来を見ている