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ヒッチハイカーになった話

半年前、私はヒッチハイカーになった。
ヨーロッパを一人旅した時のことだ。

スペインのバルセロナからフランスのモンサンミッシェルにかけて約1200キロ程の道のりを
ヒッチハイクで移動したのだが、

この体験というのは今まで生きてきた中で
とても特別な経験となった。


ヒッチハイカーとなったその日
ゲストハウスで一緒になった、女性から貰ったピザを片手にそのピザが入っていた箱にマッキーで行き先を書いて、
ハイウェイの入口に立った。
人生初のヒッチハイクをスタートさせた。

普通は人生で経験する事の無いだろうという事柄に
異国の地でチャレンジするという事で
かなり緊張していたのを覚えている。

すると、早速一台の車がこちらに向かって来た。
私は片手に持ったピザの箱を大きく掲げて、
もう片方の手で、親指を立ててヒッチハイクのポーズをとった。

案の定、車は一瞬で通り過ぎた。
根気強く待つ事を心に決めた。

それから5秒後ぐらいで2台目が向かって来た。
また同じポーズをとった。
すると、

車は停まった…

人生初の挑戦から10秒後の事だった。
体が一気に熱って、テンションがブチ上がった。
あの感覚は思い出す度にニヤけてしまう。
また、それと同時に
想定外の速さで停まってくれた為、
「えー!、マジで!!」とかなり驚いたのを覚えている。

すぐさま、車に駆け寄って開いていた窓から話し掛けた、
中には60代ぐらいの夫婦が乗っていた。

どうやら、20キロ程先の町に住んでいて、家に帰る途中らしい、
その町まで乗せて行って欲しいとお願いした。
その夫婦は快く乗せてくれた。

車中でも、ブチ上がったテンションは収まらず、片言の英語で感謝を必死で伝えた。

乗せてくれた夫婦も物珍しいのか気さくに話し掛けてくれて、自身についてだったり、夫婦の事についてだったりで盛り上がり、目的地まで会話が尽きる事は無かった。

行き先の町に着いて、車を降りる際に
主人が自身の胸に手を当て「頑張れよ」と言ってくれた。

俄然気合が入った。

そこから、1週間、朝から日が落ちるまで、
ヒッチハイクの日々が始まった。
その中でやはり毎回すぐに停まってくれるわけもなく、
何時間も待ち続ける事もあった。

寝床を探して夜の街を怯えながら彷徨うこともあった。

しかし、その中で苦労して出逢うのは
とても親切な人達だった。

お家やディナーに招待してくれる人や、
ランチを一緒に食べに行ったり、
自分の行き先よりも遠くまで乗せて行ってくれたり、
本当にみんな気さくで良い人達であり、
とてもお世話になった。

そして、1週間後の朝、ヒッチハイク旅のゴールであった
モンサンミッシェルまで辿り着くことができた。
ここまで、辿り着けたのは間違いなく彼らのおかげで、

彼らへの感謝を忘れてはいけない。
彼らとまた会える事を楽しみにしている。

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