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2023年に観た映画10選

2022年8月、「推さない」をコンセプトにしたサービスをリリースしました。

普段は「推さない」と謳い、特定の作品をランキング形式で紹介していないのですが、今回は年末振り返りということで、個人的に良かった10作品を紹介します。

Xのハッシュタグでも、今まさに2023年映画ベスト10が色々語られています。年末ならではの盛り上がりの波に乗っかりつつ、自分がどんな作品に惹かれたのか整理もしたいと考えました。

結論からいうと、今年は「作り手が『どうしてもこの作品を作りたい』という意思を感じるもの」を選んだような気がします。今年の生成AIの隆盛は言わずもがなですが、今後ますます生成AIを活用した作品づくりが進んでいくように思います。でも、そんな時代だからこそ、クリエイターの「何を作りたいか」という思いが大事になってくるはずです。

一部の作品は配信プラットフォームで鑑賞することもできます。本noteを年末年始の娯楽のお供にしてもらえたら幸いです。


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TAR/ター(監督:トッド・フィールド)

おそらくコアな映画ファンにとって、「TAR/ター」はある種の事件だったと思います。とことんまでこだわった演出は、最初は疑問符もつくのですが、何度か観直すことで、ひとつの真実へと収斂されていきます。映画の醍醐味が詰まった素晴らしい作品でした。

首(監督:北野武)

鑑賞直後はピンとこなかったものの、徐々に「ああ、これがコメディなんだな」と気付きました。コメディ映画はひょうきんな演技を見せて笑わせるだけではない。死、嫉妬、無力感……そういった負の感情から「笑い」へと昇華されることもあるんだと。日本のコメディ作家の、はるか先に北野監督は行ってしまっているのを感じました。

コンパートメントNo.6(監督:ユホ・クオスマネン)

コンプレックスを抱えた若い男女が、シベリア鉄道で相部屋になったことから始まる交流。最初は距離をとっていたのに、お互いのことを理解し、信頼を寄せることによってかけがえのない仲になるというヒューマンドラマです。ラストシーンも最高。フィンランド人とロシア人の交流、しばらくはなかなかこういった構図の作品は生まれないだろうことを悲しく思います。

対峙(監督:フラン・クランツ)

とてもミニマムな作品です。高校での銃乱射事件の犯人の加害者家族と、被害者家族、4人が一堂に介して対話する話です。回想シーンはなく、会話だけ。お互いが思っている感情を吐き出し、時に感情が崩壊してしまう瞬間もたびたびあります。だけど対話によって、両者が分かち合う瞬間というのは本当に見応えがありました。対話、すごく大事。

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン)

これはめちゃくちゃ楽しかったです。演出もどこまでもリッチに作り込まれていました。パンフレットだったと思うのですが、「スタッフにはとにかく自分が格好いいと思うものを形にするよう指示した」という監督の言葉が印象的で。ひとりのカリスマによって映画ができるのも良いですが、コラボレーションによってこれほど完成度が高い作品ができることに驚きました。

世界が引き裂かれる時(監督:マリナ・エル・ゴルバチ)

2014年、ウクライナのドネツク州で実際に起こったマレーシア航空17便撃墜事件をもとにした作品です。住民同士が親露派、反露派に分かれ対立を続けることによって、その土地の経済状況は極めて悪化していきます。今も希望を諦めずに戦っている方々がいます。1日も早く穏やかに暮らしていただくことを切に祈っています。

裸足になって(監督:ムーニア・メドゥール)

今年もたくさんの才能に巡り合うことができました。「裸足になって」の場合、主演を務めたリナ・クードリさんの眼光の鋭さ、バレエを諦めずに続けようとする意思の顕れ。ラストのダンスシーンは本当に美しく、踊ることの意義が非ダンサーの僕にもひしひしと伝わってきました。

春画先生(監督:塩田明彦)

「性の解放」をメタファーとして自由を考察する作品です。禁忌(タブー)と呼ばれているものに近接することによってひた隠しにしていた欲望が解放されていく様を描いています。想像の何倍も良い。エロティシズムな作品でしょ?と敬遠せず機会があれば鑑賞してほしい作品です。

FALL/フォール(監督:スコット・マン)

高所恐怖症でなくとも、「高い」ところで繰り広げられるピンチの連続に手汗が滲むこと間違いないです。ハラハラドキドキだけでなく、意外とストーリーにも捻りがあって。滝沢カレンさんのThreadsで知った作品でしたが、掘り出し物でした。(「怖いのが苦手」という方も大丈夫かなと)

青いカフタンの仕立て屋(監督:マリヤム・トゥザニ)

一言でいうなら「愛と死、赦し」の物語でしょうか。ささやかな罪に対する後ろめたさが伝わるし、それでもパートナーに対する愛は本物だよなという、割り切れない人間の感情を見事に映画に収めています。すぐ近くにいる愛しい人を大事にしなきゃと思える作品でした。

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まとめ(紹介した10作品)

・TAR/ター
・首
・コンパートメントNo.6
・対峙
・スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
・世界が引き裂かれる時
・裸足になって
・春画先生
・FALL/フォール
・青いカフタンの仕立て屋

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