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2021年に観た映画5選+1

8月から週1本、映画を観る習慣を作りました。

#映画感想文 というハッシュタグをつけ、毎週日曜日に、感想をnoteで発信します。なかなか大変な習慣でしたが、「映画」というメディアの価値を改めて実感することができただけでも有意義でした。

実は「映画について語る」ことに苦手意識がありました。

子どもの頃、家族で「〜〜ロードショー」をテレビで観ていたときも、僕だけ自室に帰ってしまうような。なので誰もが知る名作を観ていないことが結構あり、会話に困ることがしょっちゅうありました。

だけどこの歳になって、映画の面白さや奥深さを感じるようになりました。音楽や映像、ファッション、美術、演技、カメラワークなど、あらゆる要素が編集的に統合され、1つの作品を作り上げる。多くの人の知性、感性が集結されたアウトプットに魅了されることが増えてきたのです。(もちろん「この作品はちょっと……」と思うものもあります)

映画が詳しいわけではありませんが、映画が好きと胸を張って言えるようになったのが2021年だったなと思うのです。

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ということで、2021年に観た映画の振り返りをします。

振り返りでは10個ほどの作品を選ぶことが多いのですが、今年8月から始めた習慣ということもあり、今年は半分の5つにしたいと思います。

既に劇場公開が終了している作品も多いですが、気になるものがあれば手に取ってみてください。

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ドライブ・マイ・カー(監督 濱口竜介)

村上春樹さんのファンとしては、挙げないわけにはいきませんでした。

多くの方が賞賛していますが、『女のいない男たち』という短編集の解釈として、これ以上に磨き上げられることはできないのではないでしょうか。台詞には、自然さと不自然さが効果的に織り交ぜられています。岡田将生さんの長台詞は不自然さの極みなのですが、主人公の家福(演・西島秀俊さん)のこれまでの人生をやんわり傷つけ、なのに未来へと導いていく余韻があって奇妙な爽快感があります。何でしょうね、岡田さんの台詞は、多かれ少なかれ、映画を観ている人をも傷つけているのに。

(映画館で観ました)

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サマー・オブ・ソウル(監督 クエストラブ)

圧巻でした。地元・栃木の映画館で鑑賞したのですが、どの場面を切り取っても胸が熱くなるようなアーティストのパフォーマンス。ブラック・コミュニティーの連帯は本物で、彼らの想いがひしひしと伝わってきました。

アメリカの公民権運動から今に至るBLM(Black Lives Matter)の流れは、僕が見落とし続けてきた事実を痛いほど思い知らされます。昨今「分断ではなく連帯を」という声が聞こえてきますが、彼らのような連帯をみると、連帯という言葉を軽々しく使って良いのか?という疑問も抱きます。本当に。

(映画館で観ました)

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MINAMATA(監督 アンドリュー・レヴィタス)

スタッフや俳優陣の強い意思を感じる映画です。これはジョニー・デップさんでなければ、あるいは真田広之さんでなければ成立しない作品でした。

映画の中で、写真というメディアの力がじわじわと伝わってきます。もちろん、これまで写真が世の中を大きく動かしてきた歴史があります。文章でなく、1枚の写真が、悲しみや怒りを巻き起こす力があるのです。それでも、映画を通じて映し出される写真の力は、写真の静謐さを物語る上で、また違った力を宿しているように感じるのです。

今を生きる僕たちは、ジレンマに屈しているような気がします。世の中はジレンマだらけ、折り合いをつける勇気を持ちたいものです。

(映画館で観ました)

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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(監督 ジョン・ファヴロー)

とにかく僕の好みがたくさん詰まっている映画でした。

主人公の成長物語であり、家族との絆であり、旅の要素があり、ゲリラ的に商売をやっちゃうという側面もあり。僕も今年の8月にスモールビジネスで創業したので、共感できるところがすごく多かったです。(勢いで起業しちゃうか!みたいなところ)

今年はだいたいひとりで仕事をしていましたが、来年後半にはチームでの仕事が中心になったら良いな。旅をしながら「次はもっとこうしようぜ!」みたいなことをチームで語らえるのって、ひとつの幸せの形だと思うのです。

(Netflixで観ました、Amazon Prime VIdeoでも観れます)

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サウンド・オブ・メタル(監督 ダリウス・マーダー)

上記4作品に負けじとも劣らない素晴らしい作品でした。「聞こえ」のことで知らないこと、本当にいっぱいあるんだなあと。

今でこそ音楽業界に携わる人たちは「耳」の大切さを意識していますが、ひとむかし前は、ほとんどのミュージシャンが当たり前のように耳を痛めていたそうです。

「耳が聞こえない」ということがモチーフのひとつですが、それを超えた普遍性があります。誰しも何らかの矜持を持ち合わせています。それが失われたときに、僕らはどう振る舞うだろうか。自暴自棄になるのか、それとも新しいコミュニティで力を発揮しようと思うのか、はたまた。

映画館で観ると「音響」の素晴らしさを感じるようで、何とか都合つけて映画館に行きたいです。

(Amazon Prime VIdeoで観ました)

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イントレランスの時代(番組ディレクター 神戸金史)

もうひとつ、どうしても外せなかったのがTBS系列で放送された「イントレランスの時代」です。「誰もが心の中に持つ、不寛容のナイフ」という番組ディレクター、神戸さんの言葉が重く響きます。

この番組で映し出されているのは、不寛容の極みの数々です。やまゆり園事件を起こした植松死刑囚、日本第一党によるヘイトスピーチ。これらの当事者は言わずもがな「最低」なわけですが、番組が示唆するのは傍観者である「私たち」の態度です。

僕らはなぜ「これはおかしい!」と声を上げられないのか。所属している組織にただ遠慮しているだけなのか。それもあるけれど、「誰もが多かれ少なかれ不寛容な思想を有している」という不都合な真実に目を背けてはいけないと思うのです。僕らは過去の歴史から学ぶことができると信じています。

(「イントレランスの時代」はテレビという特性上、限られた機会にしか放送されません。ですが多くの人が要望すれば、Amazon Prime VideoやNetflixなどで観られるようになるかもしれません。気になる方はぜひ、番組ホームページにリクエストなどを出してもらえたらと思います)

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まとめ(紹介した5作品+1)
・ドライブ・マイ・カー(監督 濱口竜介)
・サマー・オブ・ソウル(監督 クエストラブ)
・MINAMATA(監督 アンドリュー・レヴィタス)
・シェフ 三ツ星フードトラック始めました(監督 ジョン・ファヴロー)
・サウンド・オブ・メタル(監督 ダリウス・マーダー)
・イントレランスの時代(番組ディレクター 神戸金史)

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