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2019年11月の記事一覧

映画 「殺さない彼と死なない彼女」 逆光みたいに射し込むもの

映画 「殺さない彼と死なない彼女」 逆光みたいに射し込むもの

完全に“舐めてた案件”でした。「高校生の胸キュンラブストーリーね」とスルーしていましたが、評判が尋常ではないため調べてみたら埼玉で2カ所しか上映していない…車で1時間かけて観てきましたが、この作品を上映していないってどうかしてるよ?

何だか妙に白っぽくて、現実味が薄い逆光気味の不思議な画面。小坂と鹿野、きゃぴ子と地味子、撫子と八千代君の3組の場面が交互に入れ替わりつつ物語が進みます。

撫子さん

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閉鎖病棟-それぞれの朝- 人は事情を抱えている

閉鎖病棟-それぞれの朝- 人は事情を抱えている

綾野剛演じるチュウさんが買い物後、和菓子屋の店主が「坂の上の人だよ。最近は頭のおかしい人たちも人権がどうたらってね」と話す。

子供の頃、隣市の山の上に精神病院があり「あそこに行ったら人生終わりだよ」と大人に言われたことがあった。大人の何気ない言葉は子供にイメージを刷り込む。そうか、精神病院という所は入ったら出られないところなのか、あそこに連れていかれるのは嫌だなと。でも私が大人になった頃、親族が

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映画 「ひとよ」 ひとよ、一夜、人よ

映画 「ひとよ」 ひとよ、一夜、人よ

否応なしに巻き込まれる。離れていてもどこかで繋がってしまっている。家族って、人って、本当に厄介で面倒くさい。

父を殺した一夜田中裕子演じる母のこはるが「夫を殺した」と子供達に告げた夜。まずは子供達におにぎりを与え、自身も無理矢理おにぎりを飲み込む。子供達を食べさせなくてはならない母の思いと、自身がこれからも生きねばならない決意が一夜の食事に表れている。「もう暴力を振るう人はいない。あなた達は自由

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