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『季節のない街』〜行者にんにくのない店〜

「あそこの産直に行者にんにく売ってるから買ってきて。大量に」というLINEがランニングに行っているダンナから入った。

あそこの産直というのは、比較的家の近くにある野菜の無人販売のこと。

化粧をしてから向かうともうすでに売り切れ。
しまった💦

もうそこからダンナに責められるという思いに駆られ、ザワザワする。

違う産直を見てまわりたいけど、息子を部活に送り届けなければならず、数カ所だけ見てあとは断念。

他の産直にも行者にんにくはなかった。

息子を部活に送り届けた後
「ごめん売り切れてた。また後で見に行くよ」と返信すると
「すぐじゃねーと無理…おせー」と、怒りのLINEが…。
あー、ザワザワ。

なんでこうもザワザワするんだろ…。

息子に「お父さんに頼まれた行者にんにく、売り切れてたよ」と言うと
「えー、行者にんにく、人気あるんだね。俺のライバルがいるってことかぁ」と、呑気な返事が来てちょっとイラッとしてしまった私。

「そこじゃないでしょ‼️」
「え?」
「売り切れってことは、お母さんが、お父さんに怒られるってことでしょ‼️」

言ってから後悔した…。

そんなこと、息子には関係ないことなのに…。

「そこじゃないでしょ‼️」

このセリフ。
実はクドカンこと宮藤官九郎さん脚本の
『季節のない街』の2話での坂井真紀さんのセリフ。

ちょっとニュアンスが違うかもしれない。
「そうじゃないでしょ‼️」だったかもしれないけど、まぁ、ほぼそんな感じなので許して欲しい。


このドラマのことは、2回ほどつぶやいた。


このドラマ、ディズニープラスで配信されていたものが、今地上波で放送していて、TVerでも観れる。

本作は、宮藤が長年温めてきた企画で、山本周五郎の小説「季節のない街」をの映像化。この小説は、黒澤明監督が映画化し、『どですかでん』のタイトルで1970年に公開されたことでも知られる不朽の名作。誰もがその日の暮らしに追われる、裕福とはいえない“街”を舞台に弱さや狡さを隠さずに逞しく生きる、個性豊かな住人たちの悲喜を紡いだ物語である。
この傑作小説をベースに、本作では、舞台となる「街」を、12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅のある「街」へ置き換え、現代の物語として再構築。希望を失いこの「街」にやってきた主人公が、「街」の住人たちの姿に希望をみつけ、人生を再生していく青春群像エンターテイメントとして描く。

『季節のない街』のだいたいの概要

これって小説があって、さらに昔黒澤監督が映画化したものだったのねー。
知らなかった〜。

しかし、これを今風にして、古い話とせずにエンターテイメントとして視聴者に届け、ほっこりさせたり、胸をヒリヒリさせたり、鼻の奥をツーンッとさせてくる辺りは、やはり、さすがクドカン。にくいねクドカンである。

どうしよう。今回は自信がある。紛れもなく、いちばんやりたかった作品で、これを世に出したら、自分の第二章が始まるような気がしています。
世界中の人に観てほしいので拡散お願いします。

宮藤官九郎さんのコメントより抜粋

おお…。
めっちゃ自信作と言ってる。
これがやりたかった作品なんだ。

世界中の人に観て欲しいから拡散お願いと言われたけど、私にそんな拡散力はない。

まぁ、拡散しなくとも2話を観た感想をここに書きたいと思う。

で、息子に投げつけてしまった言葉。
「そこじゃないでしょ‼️」

これね。
坂井真紀さんがお母さんで、息子役の仲野大賀くんに向かって言った言葉。

ヒリヒリしたのに、私がヒリヒリを息子に投げつけてしまった…。


仲野大賀さんにはお兄さんがいて、その兄は、まぁ、いわゆるバカ兄貴。ダメ兄貴。クズ兄貴なわけですよ。
誰がどう見たって。
行動も風貌も。

家にあるお金を取って行っては姿をくらまし、ふらっと帰ってきてはまたお金を取っていく。

お母さんの再婚相手はとてもいい方で、その方が、太賀くんのためにスーツを用意してくれたのに、それも奪って行ってしまうし。

なのに、そんな大馬鹿野郎なのに、お母さんはその兄を溺愛してるの。

再婚相手の入院費のためにと、みんながカンパしてくれたお金さえもそのバカ息子に渡しちゃうし。

でもって、太賀くんが、この仮設から出るためのためにと貯めていたお金さえも取られてしまって…。

けどね。
この時の太賀くんは、色々あったけど、お兄さんにお金を渡そうと思ったりもしたわけよ。

なのにさ。
刺されて救急で運ばれたお兄さんの所持品の中に、自分の通帳を見てしまってさ…。

え?どういうこと?って思うわけよ。

いやいや、渡そうとは思ったよ。
けど、盗まれてそれを使われるのとは意味が違うじゃん。

で、呆然としながらも聞くわけよ。
太賀くんは。

瀕死の状態のお兄さんの横で泣きまくっているお母さんに。

「え?この通帳って…。え?なんでここにあるの?」って。

で、お母さんが
「は?こんな状態の時に通帳の話?あんたは優しくない‼️」って。

「あんたがいつもコソコソコソコソ通帳見てニヤニヤしてるのをお母さんが気づいてないとでも思った?」って。

「あんたは本当に優しくない」って。

でもって
「お兄ちゃんは優しかった。お母さん、髪切った?って言ってる気づいてくれたし、疲れてない?って気遣ってくれたし。あんたはどう?
あんたは、お母さんに髪切ったなんて言ってくれたことあった?ないよね?お母さんが疲れたって言ったら、あんたは『俺も疲れた』って。そうじゃないでしょうよ‼️」

みたいなことをね、まあ、ものすごい迫真の演技で坂井真紀さんが見事に演じるもんだから、いやぁ、朝からヒリヒリしたわぁ。

朝観るドラマじゃなかったわぁと思ったけど、あとの祭。

でもって、この受けの仲野大賀くんの顔‼️

見事なのよ〜。

「うわぁ…。母ちゃん、違うよ。違う。俺、兄ちゃんに金渡そうとしてたよ。ってか、この金は母ちゃんとか妹たちとしあわせに暮らすためのその資金で、自分1人のためじゃないんだよ。そのニヤニヤは、仮設から出て家をプレゼントした時に、母ちゃんが喜ぶかな?って思ってのニヤニヤじゃん…。分かってよ母ちゃん…。あぁ、わかってもらえないかぁ…。あれ?俺、なんのために頑張ってきたんだっけ?そもそも母ちゃんのしあわせってなんだ?」
みたいなさ。

もう、色んな感情があることをこちらに見せてくるわけよ。

ひゃー!凄いよ‼️仲野大賀くん‼️

しかし、このドラマでのこういう親子。
母親って、現実にもありそうでさ。

親のそばにいて、親のために気を遣って、色々動いているのに、そちらよりもたまに帰ってきて調子のいいことだけ言ってやった子の方を可愛がる親とかさ。

なんだろ?
ウマが合うみたいなのかな?

同じ自分の子でも気が合う合わないはあるわけで。
けど、それをあからさまにあっちの子は可愛い。こっちの子は可愛くないみたいな、理不尽な対応をする毒親。


…こんなことを書きながら、息子に向けた今朝の私の一言が自分の胸に突き刺さる。

自分が勝手に、ダンナに後で文句言われる、怒られるっていう被害妄想を持ち、それにハラハラザワザワして、息子に八つ当たりをした私。

うお〜。恥ずかしい…。


よし。
気を取り直して、1話についても書いてみよう。

TVerって、だいたい1話が何週間か残ってたりするもんだけど、このドラマは1話が消えてしまっていたので、私の記憶に残っているところだけ。

1話は、濱田岳さんの話が中心的だった。

お母さん役に片桐はいりさん。

濱田岳さんは、市電の運転手になり切って、仮設の街の中を見えない電車に乗って毎日走り回る人。

そんな彼を街の人たちは、まるで見えていないかのようにスルーしている。

なんだけど、ある日、ここに住む街の子じゃない子を街の外でおんぶして連れていたのを誘拐疑惑で警察に事情聴取された時。

街の人誰もが彼を守ろうとしていた。
それは、嘘をついてまで。

いつもスルーしているのは、それもまたみんなの優しさの一つで、みんなが見ていないようで、見ているという街の人たちの愛を知る話がだった。

この濱田岳さんもいやはや、演技が上手いよねぇ。

仏壇の前でぶつぶつと祈っている姿。
あの言葉。

あれって、もしかしたらお母ちゃんが昔仏壇の前で言っていた言葉だったのかな?とか考えた。

息子を案じるお母さん。

何もわからないだろうと思っているその子はなんでもわかっていて、
「母さんの頭がよくなるように」
と、自分の名前をお母さんに変えて祈っているんじゃないかと、私は勝手に思ってしまった。

…ここの部分は、色んな見方があると思う。
完全に私の想像。
なので、全く違うかもしれない。

なんかね。
その仏壇の前でのシーンがかなり胸にグッときた。

この時の濱田岳さんの表情も寝てるふりをしてる片桐はいりさんの表情も。

すごく良かった。

1番最初に彼を観たのは確か金八先生だったと思う。

そのシリーズはちゃんと全話観てなかったけど、確か親が給食費を払わない親みたいな話で、親も子も問題を抱えている家族みたいなそんな感じだったかな。
で、最後の最後、卒業式で、答辞を読むのが濱田岳さんだった気がする。
なんか、アドリブみたいな答辞で、すごくリアルっぽくて、台本にあったのか、アドリブだったのか、気になるところ。

まだ若かったのに、存在感があって、なんか目がいく子だなぁと記憶している。

色んなドラマにもちょいちょい出てるけど、私の中で記憶に残っているのは、カムカムエヴリバディ。
この時の濱田岳さんは、大事なお金を持ち逃げしてしまって、長いこと妹の前に姿を現せることができなかった。

で、歳を取ってからたまたま妹の子に会い、そして、妹にも会うことが出来たんだけど、その時の老人の役。
これが、うまかった‼️

本当に老人みたいな風貌。
立ち振る舞いだった。

それでいて、ラスト、その老人の姿でサンタクロースの格好で、ダンスを踊るシーンがあった。

これってめちゃくちゃ難しいと思うのよ。

だって、老人の姿で、ダンス。
キレキレに踊ってはいけないけど、下手でもいけない。

その塩梅が絶妙に上手かった‼️

もう私には老人にしか見えなかった

で、なぜ私がここのシーンをクローズアップしたかというと、先月放送された
『黄金の刻〜服部金太郎物語〜』を観たから。

ここでのラストに老人(中年かな?)の姿のシーンがあった。

このドラマには、西島秀俊さん、松嶋菜々子さん、山本耕史さんなど錚々たる面々。

その方々が、最初と最後のシーンで、老人姿になっていたのだけど、誰よりも老人感を醸し出していたのは、濱田岳さんだった。

老人?中年?

演技もさることながらその佇まい、仕草が本当に細かく描写されていて、老人姿でのシーンは少しだけだったけど、何よりも誰よりもそのシーンが私の中で印象に残ってしまった。

まだ、TVerで観れるみたいなので、もしよろしければどうぞ。


この方がこの間までお笑いを目指しながら、奈緒さんと結婚するかしないかみたいなドラマに出てた人と同じ人とは思えない。

まだ若いのねぇと思ってしまう。

話があっちゃこっちゃいってしまったけど、この『季節のない街』
ぜひぜひご自分の目で観て、ご自分の心で感じてクドカンワールドに飛び込んで欲しい。

クスッと笑えて、グッときて、ヒリヒリして、ツーンとすると思うから。
いや、この先もっと新たな感情ももらえると思うから。


最後までお読みいただきありがとうございます😊

しあわせをありがとうございます💖
行者にんにくに巡り会えますよう…🙏

うちなる平和を💕
シュカポン🐼

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