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嘘つきと不誠実に実利あり

中年のわたしが、今更「大人」なんて言うのも
おかしな話で
しかし、大人なんてものは
同じ大人を見て「大人でしょ⁈」と思ったり

社会人1年生、会社が休みの土曜日だった

午前中、歩道を歩いていた時
信号のないT字路を、右折する原付バイクが
勢いあまって、私へ突っ込んできた

突っ込んできたものは、仕方ないとしても
原付バイクに乗った初老の女性は
「アンタが道へ飛び出してくるから」
突然、意味不明なことを言い出し怒鳴りつけた

場所は某街中
周りには、ぼちぼち人がいた
「アンタが急に飛び出すから」
大声でわたしへ捲くしたてる

若くて、怒涛の怒りに何も言い返せない時間
遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた

初老の女性が
「痛い」しゃがみ込んで、道に寝そべる
慌てて「大丈夫ですか」
わたしもかがみ込んで、初老の女性を慮る
痛い、痛い「アンタのせいだ」
痛いの連呼を不当に感じた

「わたし、歩いていただけです」

本当のことをぽろっ吐いた瞬間
見知らぬ男性からわたしは突き飛ばされた
「お前(ももまろ)、この人を見てみろ
若者は常識をないので、こうなった」
ざっくり言うと、こんなセリフを吐かれてしまった

到着した救急車は、初老の女性へ救護にあたる
パトカーも到着した

先に搬送されるのも、初老の女性だったが
わたしの運の良さは
散髪屋さんの前での事故だった

一部始終、様子を見ている人達がいた

わたしは歩道におり
原付バイクが右へ大きく曲がり
そのままわたしへ突っ込んだと証言してくださり
救急搬送は、わたしが先に乗ることになった


右足の甲、筋があるらしい
そこを破損して、痛みを感じなかったのは
「気が張っていたのね」医師から慰められた
暫く松葉杖を使うよう、貸出された

事実無根のように捏造してしまえば
たとえ、原付バイクと徒歩では
法律上、原付バイクが過失を負うとしても
過失割合が変わるのか

目撃者が居なければ
声が小さい方が加害者となり、肩身が狭くなる

大人なんてものは、狡くできている

正直は実利が得られないことが多々あり
実社会が正直で利益を得るのなら、皆、正直になる

嫌な体験をしながら、人は
正直や理想、綺麗事をまともに生きようとする

目先の利益に捉われる欲を尻目に
自分は不器用で不利益があっても
他人には、そんな思いをさせたくない
これも正義の亜種だろう

くすんだ気持ちから学んだ尊さが
自分軸を強化させる
人としての素晴らしさが光ってゆく