ゴミ捨てに行った午前2時45分
人って、十把一絡げにできないけど
身体の危機を感じ取ると、毛穴という毛穴が
刺されたように、痛みに変わるんだね
さっき、ゴミ捨てに行った午前2時45分
ゴミ捨て場の扉を開くと
蚊の羽音みたいに小さな秒針の音がした
重箱のおはぎのような几帳面に並んだゴミ袋の
どこからか、規則正しく鳴っている
左手にゴミ袋、右手にはゴミ捨て場の取手
顔や上半身の毛穴に針が刺したような痛み
恐怖で足元が固まり、身動きが取れない
まぶたなのか、瞳孔か、見開いたのが分かるのに
少し前まで話した友達との会話が脳裏を占めた
「モノは複雑に考えなくていい」
ちゃんと友達の声で再生された
左手に持つゴミ袋を投げ入れた
すると、スプーンとスプーンが重なるような
甲高い金属音がして、秒針の音が大きく露出した
わたしは中途半端に扉を塞ぎ、走って離れた
だけど、何も起こらなかった
空き地の大木から顔だけ出して様子を見る
ゴミ捨て場に戻ると、まだ秒針の音がする
「可燃ゴミの日に、目覚まし時計を捨てた?」
爆発がなくて、ドグラマグラじゃなくて
ラッキーだったけど、そりゃないわ
燃えるゴミに時計を混ぜないで
深夜のオカルト劇場は、少女が似合う
中年には、心臓に悪いがシャレにもならない