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Photo by
hidemaro2005
ゴミ捨てに行った午前2時45分
人って、十把一絡げにできないけど
身体の危機を感じ取ると、毛穴という毛穴が
刺されたように、痛みに変わるんだね
さっき、ゴミ捨てに行った午前2時45分
ゴミ捨て場の扉を開くと
蚊の羽音みたいに小さな秒針の音がした
重箱のおはぎのような几帳面に並んだゴミ袋の
どこからか、規則正しく鳴っている
左手にゴミ袋、右手にはゴミ捨て場の取手
顔や上半身の毛穴に針が刺したような痛み
恐怖で足元が固まり、身動きが取れない
まぶたなのか、瞳孔か、見開いたのが分かるのに
少し前まで話した友達との会話が脳裏を占めた
「モノは複雑に考えなくていい」
ちゃんと友達の声で再生された
左手に持つゴミ袋を投げ入れた
すると、スプーンとスプーンが重なるような
甲高い金属音がして、秒針の音が大きく露出した
わたしは中途半端に扉を塞ぎ、走って離れた
だけど、何も起こらなかった
空き地の大木から顔だけ出して様子を見る
ゴミ捨て場に戻ると、まだ秒針の音がする
「可燃ゴミの日に、目覚まし時計を捨てた?」
爆発がなくて、ドグラマグラじゃなくて
ラッキーだったけど、そりゃないわ
燃えるゴミに時計を混ぜないで
深夜のオカルト劇場は、少女が似合う
中年には、心臓に悪いがシャレにもならない