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拝啓 向田邦子さま

中学2年の国語で習った『卵とわたし』
こちらのエッセイからあなたの虜になりました

今までの人生、どれだけあなたになりたいと思い
あなたの画像を見てはオシャレは上質な物がいい
うちの祖母も言っていたので間違いないと
いわば信仰心のような気持ちがあります

それなのに、エッセイを読むと
「ああ、これって女の本音だよね」
生意気にも共鳴するのです

戦後の、母が育ったであろう時代が
とても身近に思えて共感したこともありました

あなたは『手袋をさがす』で
自身を内観しています
読めば読むほど、わたしが言い当てられている気分になり
でも、あなたほど
人から尊敬と憧れを集めた人もいないと思います

うちにはネコがいます
あなたのマミオ様と同じ毛色というだけで
あなたに近づけた気分になり
「向田邦子おしゃれ検定」の
3級ぐらいは合格した気でいます

あなたみたいになりたくて
エッセイ1万字に挑戦しようかと考えましたが
文才などの問題ではなく
自分を曝け出すのが怖くて書けませんでした

全部のわたしを放出したら
人々の軽蔑の眼差しに耐えられない

法に触れるようなことはしていません
真面目に生きてきたつもりです
継続する侮辱行為が我慢できずにnoteで告発した経験もあります

あなたも書いていらした
人には言わなくていいことがありますね

そろそろあなたの命日です
毎年、なぜかわたしは呼ばれて
何かしらの著書を手に取り読んでいます

どうしてだろう
カレンダーを気にしてなくても
あなたの本を読めと細胞が騒ぎ始めるのです

後付けすれば
わたしはあなたのような気品のある女性になるため
年に一回は講習を受けているのかもしれません

あなたの作品に触れたのは
わたしの財産です

あなたの作品に触れながら
わたしは自分の言葉を探します

#松下友香さん
#届かない手紙