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「誕生日か」昨日11日は、元彼の誕生日
2人しか居ない部屋で、ポッキーゲームをやり
若いって、バカだ

元彼・圭ちゃんから電話があったのは
別れて2年が経過した後だったと思う

出会い系で知り合った遠距離の子が
すぐに妊娠して、入籍
圭ちゃんは、奥様の実家で義父の手伝いをしていた

奥様の実家近くに友達が居ないし
趣味のサークルは、その県ではかなり遠方で
奥様の代わりに家事と育児
毎日が淋しいと連絡を寄越してきた

不倫はイヤだ
払える慰謝料は鐚一文もありません

圭ちゃんに伝えたら
「友達が欲しい」

ほぼ平日、会社帰りに圭ちゃんと話した
そして、ほぼ毎回、育児の話を聞いていた

「言葉は喋らないけど、内容は分かるんだ」
1歳位の子どもって、まだしゃべれないのか
「内容が分かるって?」
「『バイバイ』すると手を振ってくる」

今日、子どもにこんな事があった
子どもは、あんな事ができた
圭ちゃんの口数は増えていく
わたしから質問はないので、聞いているのみ

日曜日だったと思う 
洗濯物を干している時、電話が鳴った
「ももちゃん、暇?」

いつものように、圭ちゃんは育児の話をする
わたしは昼からデートの約束があり
少し、イラッとした

人のプライバシーは今でも聞きたくない
しかし、日曜日
ほぼ毎日のように電話があって、おかしい

「圭ちゃんの奥様って、何してる人?」 
「看護師」
「看護師さんだって、休みや夜勤があるでしょ」
「あるよ」「奥様と話はしないの?」

子ども向けのお歌が聴こえてくる
物が落ちた音とため息が同時だった

「彼女、家庭に関心がないんだ
本当に今日が出勤か、シフト表を見せなくなった」

疲れちゃった…鼻を啜る音と咳払い
「でも、この子が居たら
俺、なんでも我慢できるからさ
親父さんの家業を辞めて、またITに戻りたい」

育児以外の圭ちゃんの本音を聞いた

わたしと付き合っていた頃の圭ちゃんは
約800万円の車に乗り
マンションの21階から見た夜景は綺麗だった

シャギーラグに、だらしなく寝転び
誕生日ケーキの生クリームをポッキーの先で掬い
プレッツェルを咥えたわたしが
圭ちゃんへ食べさせた

うちのベランダから見る光景に
当時の思い出が映し出され
あっち側に行った圭ちゃんの声が聞こえなくなった

#シロクマ文芸部
#小牧幸助さん