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見切り千両、損切り万両

父方の祖父は、非常にドライな気質で
「見切り千両、損切り万両」の人だったらしい

らしい、というのは
祖父は、父が社会人4年で他界したからだ

祖父が経営していた会社を、三男の父が継いだが
経営の難しさや傾きに危機を覚え、会社を畳んだ
父も祖父と似た気質を持っていたようだ

恐らく、会社経営と安定を天秤にかけ
再び医療従事者として、食いっぱぐれのない
母を幸せにできる進路を選択したのだと思う

祖父と父は、ある意味、成功している部類で
2人の共通点は
「人との悪縁は切りまくる」
自己の主体的な決断力があった人だった

しかし父は
人たらしなので孤立したことはなく、孤立した方が来客が減るので、家族は落ち着いた休日になり
「今日は魚釣りに行った!良かった!」
当時は感じていた

父が言うには
人の縁は、幸福も連れてくるが不幸も連れてくる
悪縁と思ったら、早いうちに切り取らないと
縁がゆえに
自分にまで、相手の負担を強いられるときがある

縁を大切にしようの発想がある人を洞察すると
大体が世渡り下手で、トラブルや粘着
裏切り、怒りなどは縁を重んじるばかりに
苦しむ要素まで抱えてしまうのだそう

そして母もこの気質を持っている
慈悲深さと優柔不断は別物と断言した

自分が快適に生きていくには
他者を厳しく精査し、縁を切っていかないと
「友達だから」の脅迫は
調和を乱す者の受け皿になり
かえって協調できない結果を生んでいる

だから早くに
わたしを自立させて自信をつけさせたのだと言った

毒親どころか、薬親だな
なんとも泣ける話をしてくれたな

父からは、わたしが高校生のとき
母からは、社会人になって聞いたが
こんなのを幼少期に知っていたら
いつ親から捨てられるか分からないと
親を鬼にしか、見えなかったと思う

厳しい世情で縁を切ることが必要なのに
情に流されたばかりに
人生を破綻させてしまっている人を何人も見てきた

スピリチュアル的に
「縁=善」と過大評価し過ぎている側面がある
迷惑の上に更なる迷惑を呼び寄せても
つるの恩返しのような美談はほとんどない

うちの血族が正しいとは思っちゃいない
「こういう考えがある」覚えているだけ

祖父、両親の気質は、そのまま弟が受け継ぎ
わたしは人生何回目のババ抜きをしているのだろう

周囲に見捨てられて孤独になる不安感を持ち
一人で生きていく自信がないのではないかと
自分の愚かさを見つめている