見出し画像

心の老眼、お構いなく

スカートのホックが緩んできたので
久しぶりに針仕事をした

針へ糸を通す
これが難儀になると老眼らしい
わたしは近眼で、針と糸を近づけないと見えない
乱視が邪魔しなくて良かった

もっぱら感じるのが、心が老眼になり
本質どころか問題点さえ、捉えにくい
事情を離してから凝視する
俯瞰どころか、輪郭を見出すのが優先

自分がコレだ、と思い込めば
違う角度から見ようとしても
「コレ」が頭から抜けてくれない、色眼鏡

書くことを生業にしていないので
差し支えることはないのだけど

わたしは、この国とあの国の侵攻に
興味や関心が薄まりつつある
以前のように、海外のニュースを拾って
読まなくなってきた

「困っている人がいるのに、優しくないな…」
わたしは満遍なく思いやりのない、ただの嘘つき
真っ先に閻魔大王に舌を抜かれて
善意でできた道を歩くのだと見据えている

わたしの心は老眼になり、増税も仕方ない
減税を考えてないことに、幼なじみから指摘された

去年のわたしは、積雪があると画像にし
「見て!雪なう」
真夜中だろうが、気分が高揚して外に出た
誰も足跡を残さない純白に
23.5センチの証をつける

昨夜は午前4時まで、幼なじみと電話をしていた
カーテンを覗くと、隣家の屋根は厚みを増して
「寒そう」
一階へ降りても、玄関には向かわず
温かい湯へ、身を委ねた

心の老眼、お構いなく