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ココだけの話、誰も傷つかない話

墓場まで持っていくまでもない、ココだけの話
他人の噂話でもない、自分の出来事

小学生の頃、掃除時間は担任教師の見回りがない
渡り廊下が担当だった
まだ子どもであり、遊びたい盛り
テキトーに掃き掃除をし
あとは決闘ごっこが面白くて

ホウキを持って、男子と決闘する
男子は男子で気を遣って、手綱を緩めてくれた

しかし、相手が“ももまろ”
マヌケの女王は、男子からのホウキを顔面で受け
額から、右斜め下まで一直線に
アザを作ってしまった

担任は、わたしがイジメられたんじゃないかと騒ぎ
「柱にぶつかった」と嘘ついても信じてくれない
帰宅すると、学校から電話を受けた母からの
事情聴取が始まった

掃除時間、遊んでいたとは言えない
校内にある死角を侵されたくない

目から星が散らばるほど、痛かったのに
正直に話してしまえば、担当は見回りに来る
せっかく楽しい時間を自分のミスで壊したくない

この頃を境に
わたしはドMだったのだと、振り返る
苦痛だけではない、痛み
遊んでいるときの痛みは、快感を伴う

そして、Sの気質も持ち合わせていること

決闘ごっこした相手に
「誰にも言わないから」
「Aくんがしゃべったら、もう遊べないんだよ」

高校生になり、Aくんから言われて記憶が蘇った
Aくんは、わたしのセリフで下半身が反応した
エピソードを聞かせてくれ
腹筋がどこにあるのか判るほど、笑った

振り返ってもゾクっとするような
Aくんの目から目を離さない自分が居たのが
今でも記憶にある

気質は変わらないと思うものに
「誰にも侵されない、二人だけの場所」が好きで
言うに足りない、バレても実害がない
小さな秘密を共有するのが
心を満たす条件であること

ココだけの話、誰も傷つかない話