見出し画像

可愛いと、可愛いと、可愛いが集まる中

駅前で
信号待ちをしていると、母校の制服が目に入る
まだ着こなしがぎこちないので、高校一年生だろう
重そうなリュックに、膝丈スカート
昔いた、制服を改造した生徒を見かけない

わたしの世代、膝丈スカートの子は
アニメ好きか、生徒会に在籍する子で
若干短めの丈が主流だった

他校には、ルーズソックスや紺のハイソックス
うちの高校は、ハルタのローファーに
くるぶし20センチの白い靴下がオシャレだった
靴下もラルフローレンが人気で、校則の範囲

第三者には、皆同じに見える格好は
校内では、微妙なポイントでオシャレに差があり
体育のジャージを着崩すのも、工夫した

僅かなのに、他の子と違いがある
月曜日は、小さな何かが目を惹いた
「可愛いね」自然と口から出た言葉たち

可愛いと、可愛いと、可愛いが集まる中で
トランプを切りながら、“大富豪”に興じた
不二家の棒つきキャンディを舐めながら
アーティストの新譜が話題になって
シングルカットのサビをユニゾンする

男子に囲まれながら『男子が居ない世界』
こんな子達に彼氏がいる、普遍
振り切っているのが、カッコいい時代だった

それも今では、可愛い
若いって、可愛い

夏になると、スカートの中を下敷きで仰ぐのも
冬にはスカートの下へジャージを捲って、防寒して
現代の高校生事情は知らないが
あとから、どれもこれも初々しい思い出に変わる

若いときの自分を許せる日が来る