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孤独を受け入れ、穏やかに過ごす

平和とは、脳が覚醒して左手を伸ばす
「大体、この位置」に、柔らかい毛玉があり
部位が分からぬまま掴んで

「かわいい!」
おはよう、より先に「かわいい」
毛玉が動かないので、そのまま撫でると
尻尾が音を立てて動き始める

右手で枕元のスマホを探し、やっと目を開ける
「やれ、起きようか」

左手首につけたままのゴムで髪を括り
クローゼットからシャツとスカートを引ったくり
着替えをする

パジャマ代わりのTシャツと短パン
シーツと枕カバーを剥ぎ、雑に丸めて1階へ降り
洗濯機へ放り込んで、ボタンを押す

お手洗いへ行った後、洗面所で
前髪をカチューシャで上げ、歯磨きと洗顔
テキトーに基礎化粧品を塗りたくる
髪をほどき、クリームで整え、鏡を覗き込む

冷蔵庫を開け、冷やした水のボトルを空ける
大きく息を吐く

わたししか居ない、台所
意見の対立がない母はリビングで新聞を読み
弟は既に出勤している

これといった主義もなく、これといった宗教もない
なるようになる
「まあ、いいか」

わたしを脅かすものは、特にない
これが平和だよ
孤独を受け入れ、穏やかに過ごす

人に会う時に被る、ネコがヘソを天井に向けて寝る
心のハムスターが
巣から出てひまわりの種を頬張る
平和とは、わたしが解放されている時間