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これだけは揺るがない

昼間に散歩を楽しんで
「やれ、休憩」とスタバへ向かう
「ももちゃんだ!」

誰かと思えば、昔、引っ越して行った
幼なじみのお母様と妹さんだった
30年振りの再会
「ももちゃん、変わらないね」
いえいえ、しっかり中年真っ盛りです

生まれつき、きつね色の茶髪に
平行二重のクルッとした眼
わたしのアイコンは昔のままなんだ

5年前、某所在住の折だった
「ももちゃん?」
一見のお客様から声をかけられた
どなただろうと思い、返事をした
「やっぱりそうだ!赤ちゃんの頃から変わらない」
お母さんに似てるね

赤ちゃんの頃って、あーた
いくらなんでも、大袈裟な

一見のお客様から名前を頂戴し
休憩時間に母へ電話をすると
母が会社員時代の上司が、その人だった
「番頭」と呼ばれる程の切れ者だったという

産後、まだ乳飲児のわたしを会社へ連れてゆき
お披露目したそうな
Instagram女子と変わらないメンタリティだな

昔と変わらない、なんだろう
この複雑な胸中は
芋虫から変態して蝶になる過程がなく
芋虫は芋虫のままなんだと、肩を落とす

綺麗になったね、美しい人になったね
そんな言葉もかけられずに、生涯を終えるのか
努力をしてないなら、仕方ない

だけど、考えようによれば
わたしは生まれつき、綺麗ってことか
天地がひっくり返っても、それはない

どっちでもいいや
図太い中年期にいる、これだけは揺るがない

幼なじみのお母様と妹さんは
「ももちゃん、笑い上戸まで同じだね」
そうだな、昔も笑っていたな…
容姿より、こんな点を褒められるのが嬉しいよな