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松竹ブロードウェイ シネマ『キンキーブーツ』鑑賞~改めて”継承”を願う

松竹ブロードウェイ シネマ『キンキーブーツ』が日本で上映されるという。

私は、実物の春馬くんの『キンキーブーツ』を見ていない。春馬くん出てるやつじゃないしな~、最近春馬くんの数多の新旧映画を見に行くのに忙しくて出歩きすぎてるしな~、うーん、我慢しようかな~、なんて思っていた。だけど、見に行った方々の感想を読むうちに、「やはり見なければ!」という気になった。春馬くんが雷に打たれたものをやはり体験したかったし、『Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie』や公開ゲネプロ映像、CD音源などで細切れに把握しているものの、やはり全編ストーリーを体感しなければ、と思ったのだ。

ミュージカル好きの子供たちももうだいぶ大きくなったので、誘ってみた。「これを見ずしてミュージカル好きとは言えないそうだよ。見に行く?」ときいてみたら、行くとの返事。3人で見に行くことにした。

前日、学校から帰宅した中学生の息子が、少々興奮気味に
「今日、英語の授業で、シンディ・ローパーの”Calm Inside the Storm”をやったよ!」と言う。洋楽好きの英語教師が、いつもいろんな名曲を授業で流してくださるのだ。息子は、『キンキーブーツ』の音楽/作詞がシンディ・ローパーであることを予習していたので、観劇前日の授業でシンディの楽曲に遭遇したことに運命を感じたよう。私も「このタイミングでシンディだなんて、『キンキーブーツ』に呼ばれてるね!」なんて、一緒に喜んだりして。

当日(3/13)は、朝から雨模様。天気予報では、関東地方、このあと嵐になりそうだという。
早くも強い雨足で靴を濡らしながら、3人でシアターまで辿り着いた。
シアターの席に着くと、ほぼ満席。もちろん、ミュージカルファンの方、純粋な『キンキーブーツ』のファンの方も多いとは思うが、私のように実際の春馬ローラを生で見られなかった無念さからここにいる、という方も多いのではないか。そんな想いでまわりをぐるっと見回し、始まるのを待つ。

ようやく一続きの物語になる

とにかく、とにかく、とにかく!!面白かった!!

『Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie』や公開ゲネプロ映像で見たセット、日本キャストが着ていた衣装そっくりで、歌う!踊る!笑う!泣く!
とにかく生き生きとそれぞれの人生を生きる魅力的なキャストたち。

家で見る『キンキーブーツ』の映像では、どうしたって春馬くん演じるローラばかりに集中見てしまうので、ほかのキャストにあまり意識がいっていなかった。でも、今回スクリーンで全編見て、こんなに魅力的な人たちだったなんて、と改めて知った。チャーリーはもちろん、ローレン、ドン、ジョージ。ユーモア溢れ、どこか不完全、でも自分の意志をちゃんと持ち、そしてほんとは優しくて、なんて愛すべき人たちなの!?

そして、今回全編通して観劇できたことで、これまでよくわからなかった箇所も完全に理解でき、私の中で『キンキーブーツ』がようやく一続きの物語になった。

でも、どうしてもローラの姿を春馬くんにオーバーラップしてしまい、必要以上に感傷的になってしまうこと、許していただきたい。

オープニングの靴工場プライス&サンのシーンで、なるほどチャーリーの事情を初めてちゃんと把握した。ふむふむ、突然お父さんが亡くなり、婚約者の二コラを置いて工場に戻ったのね。

フーリガンに絡まれるローラが登場したところから私の鼓動は徐々に速くなり、エンジェルズの「ローラ!ローラ!」という歌声に合わせて真っ赤なドレスのローラが両手を広げ満面の笑みで登場したところで、鼻の奥がツーン。映像で何度も見た春馬ローラがその姿に重なった。

大好きな「SEX IN THE HEEL」のダンスシーン。♪SEX IN THE HEEL~と歌に合わせてキレッキレに踊るエンジェルズ達の美しいこと!この方たち、ほんとに女性じゃないの?!いやいや、完全に女性を超えてるよね?!と釘付け。

ローラとチャーリーが心通わせ合う「NOT MY FATHER'S SON」のシーン。お互い、父親の望むようには生きられない、でも自分を生きていきたい、という。ああ、なんかすごくわかるよ、わかる。春馬くんの歌っている表情が脳裏に蘇る。今度は鼻のツーンだけじゃなく、胸まで熱くなる。そして、やはりマット・ヘンリーの歌のうまさはさすがだな。深みと幅を感じさせる。

ベルトコンベアを使った演出が秀逸の「EVERYBODY SAY YEAH」のシーン。これ、ほんとに絶妙なタイミングとコンビネーションの上に成り立っているんだなあ、相当練習積んでるよね。ジャパンキャストもほんとに楽しそうに息ぴったりだったよね。どんどん楽しい気分が盛り上がってくる。体もムズムズ動き出しちゃうし、おそらく頭は左右に動いちゃってたと思う。思わず拍手しそうになり、ちょっと恥ずかしくなりシートに座り直した。ほんとの舞台だと、ここで第一幕が終わりのようだが、映画はそのまま続いていく。

勘違いドンに、ほんとに女が望んでいるものは、とローラが諭す「WHAT A WOMAN WANTS」。女性従業員たちと華麗なステップを踏みながらのダンス。春馬くんのキレのあるステップを思い出す。そしてボクシングで対決するシーン。マット・ヘンリーももちろん素敵なのよ。でも、やはり美しかったな、春馬くんのボクサー姿。ローラがドンに渡したメモにある「あるがままの他人を受け入れる」(英語でなんて言っていたか忘れた(笑))それで、’男’になれるという。つまり、それだけですべては変わっていくという。そして、実際にドンはそれを実行したのね。うんうん。

そのあとのチャーリーとローラのシーン。ローラが深く傷ついた表情で靴工場を後にしたのは『Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie』で見てて、CDでは、『HOLD ME IN YOUR HEART』の歌が始まる前にチャーリーが「あんな言い方をして」って謝っていたから何言っちゃったんだろ?って思ってたけど、今回映画で見て、「まあ!チャーリー!あなた、ほんとになんてひどいことを言ったもんだ!」と、初めてわかった。あるがままの他人を、あるがままのローラを受け入れていなかったのは、チャーリーあなただったのね。

マットの『HOLD ME IN YOUR HEART』はほんとに見事だった。情感あふれ、もちろん春馬くんとは違う表現力で、純粋にマットの歌に揺さぶられて涙が流れた。
『Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie』見てる時は、だいたいここでいつも嗚咽が漏れるほど泣いてしまう。
情熱的な歌声に、身体まで熱くなってきて視界がぼやける。マットの姿が時折春馬くんに見えたりして。

そして、ミラノのショーのシーンで、チャンチャチャンチャラチャラ♪の音楽から、ローラが登場した時、めちゃくちゃ嬉しくなる。『RAISE YOU UP』から『JUST BE』でテンションマックスで、もう楽しくて楽しくて。マスクの中で、鼻歌で合唱する。でも、最後終わった時には、悲ししいのか寂しいのかよくわからない感情も湧いてきて。感情の振り幅が激しすぎて、なにがなんだかわからないまま、涙まみれでシートで呆然としているところで会場が明るくなる。

なんか私、燃え尽きた感じ。

息子もはまる『キンキーブーツ』

映画が終わって客電がついた途端、隣に座っていた息子が
「何これ!?めっちゃいいじゃん!」と高揚した顔で言った。

息子は、小学一年生の時『キャッツ』でミュージカル鑑賞デビューし、そこから一気にはまり、私より劇団四季オタクである。何か演目を見るたびパンフレットとCDを買って帰り、朝な夕にミュージカル曲を歌い、夜はベッドの中でパンフレットを見ながら寝落ちするほどで、彼の大部分は劇団四季ミュージカルでできているのでないかと思っている。

家に帰ってから、みんなで『Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie』を見て、今日の映画を振り返る。

「衣装もセットもおんなじ!」
「うわー、ローラ、おんなじ踊り!」
「日本版だとこういうセリフになるんだ!」
「ベルトコンベアのところ、すごっ!」と
と子供たちも、昼間の興奮を思い出している様子。

特に息子は、『キンキーブーツ』をかなり気に入ったようで、以降よくサントラを聴いている。Amazon prime musicにあるオリジナル・ブロードウェイ・キャスト版であるが。時折、「SEX IN THE HEElL」を鼻歌で歌っていたりする。『キンキーブーツ』は、やはりミュージカルを愛す全ての人に訴えかける作品なんだな。連れて行ってよかったな。

『キンキーブーツ』日本版の継承を望む

少し前までは、春馬くんの出ない『キンキーブーツ』には興味が無いと思ってた。というより、春馬くんのローラしか見たくないとさえ思っていたのかもしれない。
特に日本では、ローラは春馬くん以外できないよ!とそう思っていた。

『キンキーブーツ』ジャパンキャストの方々も、今回上演された映画をご覧になっていたようで、SNSやブログなどでそのことを投稿されていた。

エンジェルズのお一人の遠藤裕介さんのTwitter。

パット役の飯野めぐみさんのブログ。

ジェンマ・ルイーズ役の丹羽麻由美さんのインスタグラム。

ほかにもあるかもしれないが、探しきれなかった。
ジャパンキャストの皆さんは、当然、それはもう表しきれないほどの熱い想いがあるわけで、そういう方たちの中に、『キンキーブーツ』が、そして春馬くんのローラがイキイキと生きているんだと改めて思った。

そして、今回のこの映画を見て、たくさんの感動と教示をいただき、『キンキーブーツ』日本版の再々演を切望する気持ちになった。

みんなと同じより 自分の個性で生きてみる

『キンキーブーツ』のキャッチフレーズ。同調圧力で押しつぶされそうな今の日本に一番必要な言葉じゃない?

ジャパンキャストの方々、スタッフの方々の辛さはそれこそ計り知れない。でも、再びこの『キンキーブーツ』日本版を復活させることが、携わった皆さんの悲しみを癒し、春馬くんも安心して休めるのではないか、と思うようになった。

もちろん、春馬くんの後釜のローラを演じる方は並大抵の挑戦、勇気、努力ではないと思う。そのプレッシャーたるや想像を絶するものがある。それでも、敢えてローラ役に手を挙げてくださる方がいるのなら、それはもう、春馬くんのような温かい心と眼差しで、そのチャレンジを応援し、是非何度でも見たいと思う。

春馬くんが、全身全霊をかけて表現した『キンキーブーツ』というもの、ローラという人物を、敬愛と愛情をもって、それこそ ”継承” していってくださることを切に願う。

そして、最後にローラの6ステップをもう一度復習する。


1.真実を追いかけること
  Pursue the truth.
2.新しいことを学ぶこと
  Learn something new.
3.自分を受け入れ、他人も受け入れること
  Accept yourself and accept others, too
4.愛を輝かせること
  Let love shined.
5. プライドを掲げること
  Let pride be your guide .
6.自分が変われば世界が変わる
   You change the world when you change your mind.

この言葉を胸に、生きていきたいと思う。春馬ローラとともに。

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