著…森鴎外 絵…げみ『高瀬舟』
「流罪になる罪人の身の上話」
この物語を一言で要約するとそういうことになりますが…、単なる御涙頂戴話ではありません。
読んだ人の心の奥深くに、まるでいつまでも抜けない棘みたいに残ります。
この作品からは、人間の無力さ、人が人を裁くことの難しさ、情にほだされず法に則って裁いたり刑の執行に向けて段取りをしなければならない側にいる人の辛さも伝わってきます。
非常に重いテーマの小説ですが、夕陽に照らされながら物思いに耽る庄兵衛の後ろ姿や、小舟に浮かぶ灯り、そして庄兵衛と喜助の行く末を優しく導いてくれるかのような星空のイラストに見惚れながら読むことが出来ます。
…わたしはこの作品を読み返す度、つくづく考えさせられます。
確かに、喜助は罪を犯しました。
流罪になるのは無理もないことでしょう。
けれど…。
「じゃあどうすれば良かったの?」という、正解のない問いが、ずーーーっと胸の中をぐるぐると駆け巡っています。
もしもわたしが喜助と同じ立場だったら…。
…同じことをしたかもしれません。
〈こういう方におすすめ〉
正解のない問いについて考えたい方。
〈読書所要時間の目安〉
30分くらい。
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