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編集…永岡綾、大久保美夏『がまくんとかえるくんができるまで アーノルド・ローベルの全仕事』

 『がまくんとかえるくん』シリーズを含む多くの名作を生み出した、絵本作家アーノルド・ローベル。

 これは、

 ●さりげないけれどもあたたかい友情を描いた作品の素晴らしさ
 ●不遇だった幼少期
 ●人間味溢れる人物像
 ●同性愛者としての一面

 といったことをまとめた図録。

 創作に向き合っていた時の姿勢も紹介されているので、絵本作家を目指している方にも参考になりそうな本です。

 まず、この本に載っている、

 ●スケッチ
 ●原画
 ●完成したカラー原稿

 の絵の違いを見比べるのが楽しい!

 それぞれ、キャラクターたちの表情が微かに異なる感じがするので、味わい深いです。

 また、お話づくりの流れも紹介されているので、読んでいると、まるで自分も絵本作家になって執筆しているかのような気分になれてワクワクしてきます。

 アーノルド・ローベルの場合、まずは構想をノートに下書きして、それからページの割り振りを決めて、その後スケッチを始めて、構成を決め、編集者と推敲を重ねたのだそう。

 よりよいものを目指して何度も修整を加え、何気ないセリフの一つ一つにも心を砕いた様子も伝わってきます。

 0から1を生み出す創作活動はとても大変だと思いますが、きっと優しい心が込められている作品だからこそ、読者も癒されるのでしょう。

 また、ご家族がおっしゃっている、

 父さんは、子どもを説き伏せたり騙したりしたくなかったんだ。人間には相反する感情があるし、人生というのは変化や困難にあふれていて、いいこともあれば悪いこともある。そんな悲喜こもごもをぎゅっと凝縮して、できるだけ簡潔に伝えようとしたんじゃないかと思う。

(編集…永岡綾、大久保美夏『がまくんとかえるくんができるまで アーノルド・ローベルの全仕事』P208から引用)


 という言葉も素敵。

 わたしはこの本を読んだことで、ますますアーノルド・ローベルを好きになりました。



 〈こういう方におすすめ〉
 アーノルド・ローベルのファン。
 絵本作家を目指している方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間半くらい。

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