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編著…ナショナルジオグラフィック『秘密の地下世界』

 ミステリアスな世界観が好きな方におすすめの本。

 まず、パリの地下墓所にびっしりと積み上げられた頭蓋骨、脛骨、大腿骨に圧倒されます。

 ご遺体に対して「収納」という言葉を使うのは不謹慎ですが…、まさに収納と呼ぶ他ないほど沢山の遺骨が綺麗に並べられていることにびっくり。

 この骨の持ち主たちは、もちろん生前は生きた人間だったわけですから、ご遺骨だって大切に扱われるべきです。

 しかし、この本に載っている写真を見ると、頭蓋骨、脛骨、大腿骨ごとに、まるで地層のように重ねられているので、見ているとなんだか奇妙な気分になります。

 華やかなパリの地下にはこうした世界が広がっており、第二次世界大戦の折にはレジスタンスたちの隠れ家にもなったといいますから、更に驚かされます。

 レジスタンスの人たちはこの空間が怖くなかったのでしょうか…?

 怖いなんて言っている場合では無かったのでしょうが、それにしても、現代のようにLEDライトがあるならともかく、当時の灯りでは暗闇にぼんやりと骸骨が浮かび上がってきて余計に恐怖を煽りそうですが…。

 もしくは、レジスタンス活動をするという使命感に燃えている人たちを、むしろ骸骨の方があたたかく見守ってくれていたのでしょうか…?

 また、シチリア島の地下墓所のミイラたちも、不思議と怖くないのが印象的。

 わたしは特に、P22掲載の写真の上段のミイラのうち、一体の首がかなり急な角度でポッキリと横へ折れ曲がっているのがとても気になります。

 たまに電車で、大分お疲れの様子の乗客が隣の乗客の肩に寄りかかって爆睡していますよね?

 このミイラはそんな姿以上に首が曲がってしまっており、もう既に永眠しているとはいえかなり辛そうな体勢で、わたしは「寝違えないかな?」と心配になります。

 出来ることなら体勢を直してあげたいです…。

 日本人が勝手に触ることは出来ないので、関係者の方、もし可能でしたらどなたかお願いします…。

 それともこの折れ曲がりっぷりには何かきちんとした理由があり、むしろ直してはいけないのでしょうか?

 気になります!

 という風に、この本に載っている骨もミイラも全く怖くはないし、世界の地中の洞窟も、奇岩も、溶岩湖も、神秘的で美しいです。

 特に、足の下の世界でマグマが湧き上がっているところなんて、日常生活を送る上ではちっとも気に留めないのに、実は地球上にはこういう景色があるのですよね。

 この本に載っている溶岩湖の写真を見て、わたしはつい「ロード・オブ・ザ・リングでフロドとサムが辿り着いた場所みたい…」とついファンタジックな想像をしてしまいます。

 この真っ赤なマグマ!

 鮮烈!

 自然界の脅威のエネルギーに驚かされます。

 地球って、凄いところが沢山ある凄い惑星ですね。


 〈こういう方におすすめ〉
 地下の世界を探検している気分を味わいたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 3時間くらい。


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