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著…関亜弓『ヒロインはいつも泣いている 「女だから」悩む歌舞伎の女性たち』

 幼い子どもたちを守るため夫の敵に身を委ねた、『一條大蔵譚』の常盤御前。

 父親を養うために夜鷹になった、『三人吉三』のおとせ。

 といった、歌舞伎の作品に出てくる女性たちをキャラクター分析した本。


 ある時は政治の道具にされ、ある時は親孝行のために身体を売り、ある時は自己犠牲をする…。

 望む・望まないにかかわらず、哀しい身の上の女性が多いです。

 けれど、この本は単に「酷い目に遭ってお気の毒」と彼女たちに同情するだけの内容ではありません。

 彼女たちなりの生き様。

 残酷だけれども印象的な最期。

 そして、誰かに情熱的な恋をしたこと。

 そういったことを分析している本です。

 歌舞伎はどうしても「敷居が高い」というイメージがありますが、こうして登場人物に共感すると、なんだか身近な人にも思えてきて、より感情移入しやすくなりますね。


 〈こういう方におすすめ〉
 歌舞伎作品に出てくる人物を、より身近に感じたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 3時間くらい。

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