見出し画像

ほんまの2021年ベスト10②

①の続きです!

昨日は酔った勢いでそのまま投稿してしまい(私の人生は9割が酔った勢い)、メモそのままで文体も全然統一されていなくて、読みにくいところあったかと思います。リンクすらちゃんと貼れてなくてすいません。
ちょっとだけ直しました。
メモそのままなのはもう諦めた。
出版社さんに感想を送ったりしますが、それもだいたいこんな感じで勢いのままに書いています。文量としては2000文字くらい。多いわ。
読書しながらメモをするとかなり楽な作業になるのですが、相変わらず読書メモを作る習慣が出来ません。読み散らかし型。
さて続き。

⑦正欲

これはすごーい。
朝井さんお見事としか言いようがない、時代の切り取り方がすごい、まさかこんな形で私達に投げかけてくるなんて。
まず性欲の対象が水という人たちの存在に驚いた。いやそりゃいらっしゃるんだろうけど、つくづく私は視野が狭く、自分の半径数メートル以内が正義なのだなぁとそこでまず叩きつけられる。
あとYou Tubeのコメント欄の仕組み?というか、そういう需要もあるんだということに怖くなったというか、そんな風に考えたことなくて、またまた自分の視野の狭さを感じた。
性の対象が女性ではないかも知れないというだけで、=ゲイだという噂を立てられて虚しくなる箇所とか、男性恐怖症だという女性に対して、世間から同情してもらえるような秘密で良かったねと思わず言ってしまう箇所とか、この作品が読者に考えようとさせていることがものすごくて、ずっと脳みそフル回転状態だった。
登場人物たちに感情移入してしまい、同情にも似た悲しさを抱いてしまうんだけど、それも私が考える、"無害”な範囲の性癖だからで、これがロリコンとかだったらよっぽど理解も同情も出来ない。私ってとことん都合がいいな、と自分が嫌になってしまうところまで含めていろんなこと考えた本。
本屋大賞も上位確実だと思う。

⑧トリカゴ

実は一番最近になって読んだ本で、それまではこのベスト10にも入ってなかった。が、読んだ瞬間にほんま大賞にしようかなと思ってしまったくらい面白かった。が、惜しくも次点。(何様や)
戸籍がない人たちがいること。
彼らの生きてきた道のりの壮絶さに圧倒される。
児童虐待だったりのつらい描写も多いけれど、NPO法人の人のような活動をされている方がいるんだと知れただけでも、まだ日本もそんなに悪くないんじゃないかと思えるラストになっていた。
自分はつい目先の利益ばかり考えてしまい、社会を良くする、なんてことに考えているふりをしながら、とても無知だし、疎い。
彼らの存在をなかったことにする社会であってほしくないし、もっとたくさんの人に届いて欲しい、知ってると知ってないとでは大違い。

⑨ハッピー・オブ・ジ・エンド

BLコミックス。BL界の巨匠おげれつたなかさんによる、もはやこれは純・文学。(文学が漫画より優れているとかそういう議論をしたいわけではないです)
表情を描くのが抜群にうまい。こちらの期待を裏切るような表情、そしてその裏にある複雑さまで透けて見えるような表情(なんて言ったらったらいいの!)の描き方が抜群にうまくて、キャラクターがしっかりと活きている。ゲイであるがために家族から勘当されてしまい、行き場を失った千紘と、裏社会一本で生きるしかなかったケイト。
とくにケイトは途中までずっと瞳に光が入ってなくて、文字通り「目が死んでる」風に描かれていたんだけど、ある瞬間から瞳に光が入る。もうラストは号泣。早く続編くれ。
BLでしっかり濡れ場もありとてもエッチではあるんだけど、前述の『トリカゴ』と後述の『やさしい猫』を読んで、その物語がいいと思う人なら、絶対に理解できる話だし、読んで良かったと思ってもらえる自信がある。かなり社会派BL。

⑩やさしい猫

これが第4回ほんま大賞!!
2011年の震災ボランティアで出会った、シングルマザーのミユキとスリランカ人の自動車整備工場で働くクマラさん(通称クマさん)
タイトルのやさしい猫というのは、スリランカに伝わる昔話で、猫はネズミを食べてしまうんだけど、のちに子ネズミ3匹を発見して、自分が食べたのが子ネズミの両親だったと気づく。猫は自分はなんてことをしてしまったんだと反省して、その子ネズミを育てることにするって話なんだけど、それが象徴的に使われている。最初は?って感じだったけど。そして主人公のマヤもは?ってなるんだけど。
ミユキと結婚して、家族ではじめてのクリスマスを過ごそうとしていたところで入管に収容されてしまったクマさん。収容されてしまったということは、もう強制送還になって、しかも数年は日本に入国禁止という措置が待っている。ミユキとマヤは、弁護士さんの力を借りて、何とかクマさんと暮らそうと裁判を起こす。
ちょうど名古屋入管でスリランカ人女性のウィシュマさんが死亡するという事件があって、でも私実際その事件について詳しいことは何も知らなかったし、何なら入管という施設すら知らなかった。これを新聞連載で掲載されていた中島京子さんの思いをしっかりと受け取った。
この物語は、もちろんフィクションである。しかし一番のフィクションなのは、もしかしたらこの物語がハッピーエンドであるということなのかも知れないと、そこに思い至ったときにゾッとしたし、これはたくさんの人に届けなければという使命感が湧いた。
実際に裁判を起こしたとしても勝率が2,3パーセントというところ。こんな横暴があっていいのだろうかと、読んでいて知らなかったことを恥じたし、どうにか出来ないのかなと思うようになった。
この手の、"社会の生きづらさ”みたいなのを訴える本って、誰に届ければいんだろうと思ってしまうこともあるけれど、これは正しく、私たちが読むべき本だと思った。苦しんでいる人じゃなくて、むしろ全く彼らとは無関係の私が読むべきだと。
外国人労働者に対する差別も描かれている。
内容は重く、考えさせられるものではあるんだけど、中島京子さん節で明るく、やさしく、ときにコミカルに描かれている。その奇跡のようなバランス!!
もっと読まれるべき。知るべき。忘れないべき一冊。
べきべきくどいけど本当に読んでくれ!!

以上!
参考になりましたでしょうか。
かまかるの番組内で、「ほんまさんって意外と社会派だよね」と言われたんですが、まぁこう並べてみるとそうなのかも?そうなの?
そしてお気づきだろうか、すべて出版社が違うことに。気遣いの鬼。
やはり加齢とともに、好きな本の傾向が少しずつ変わっていっているのかもと思いますが、相変わらずホラーも好きだし、しょうもない話も好きなんだ。色々とあるのが本の魅力!
では皆さん、今年もありがとうございました。
よいお正月とよい読書ライフを!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?