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翻訳者の生産性って?

最近この本を読んで、翻訳者にとっての生産性とは何かについて、改めて考えています。

かなり刺さる内容だったので、2箇所引用します。いずれも、生産性を上げるためのアプローチとして挙げられていた、商品の付加価値についての指摘です。

1つめはこちら。

たとえ「今までよりはるかにいい商品になった!」と供給者が考えても、それだけの価値を消費者が感じなければ、価格を上げることはできません。

これを翻訳者に置き換えて考えてみると、たとえ自分の翻訳スキルが上がったという実感があったとしても、たとえ自分史上最高の名訳が思いついたとしても、クライアントに価値を感じてもらえないなら、意味がないということなのです。

もっと言ってしまえば、翻訳者としての「頑張りどころ」を間違えると、期待していたような結果が出せないかもしれないのです。

翻訳のスキルを上げるのは大前提とはいえ、優先すべきなのは、クライアントが何を求めているのかを明確にすることなのでした…。

2つめの引用はこちら。

値上げが受け入れられるのは、代替品が見つからない商品の場合と、原材料費の調達難で供給量が減り、消費者から見た希少性が高まった場合のみです。

この原則を翻訳者に当てはめると、レートが上がらないのは、「代わりはいくらでもいる」という状態に陥っている可能性があるということです。

レートを上げたり、仕事の依頼を増やすためには、何としてでも、翻訳者としての希少性を高める必要があるわけです。

確かにいわれてみると、活躍されている翻訳者の方はみな、希少性のある仕事をされているような気がしてきました。


私は社内翻訳者として働いており、社内で同じ業務を担当している人はいないので、職場においては希少性があると言えないこともないです。

が、ひとたび社外に放り出されて、市場で自分のスキルを売り出した場合、果たしてそれに希少性があるのかと問われたら、イエスと断言できません。

これは、とっても、まずいのではなかろうか…。

今更気づいて焦っています。でも同時に、今気づけて良かったとも思っています。

このほかにも、生産性を上げるにはどうしたらよいかを考えるためのヒントが盛りだくさんで、ハイライトを引きまくりました。2016年に出版された本ですが、内容は非常に普遍的です。

仕事の生産性を上げたいと思っている翻訳者のかたには、ご一読をおすすめします



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