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#34 DRAW A LOT総合プロデューサー・青山 薫「守破離の20代」(2021.3.19&26)

本日の会議相手は20代で自分の会社を興した方。前々回のPlacy・鈴木さんもそうですが、この混沌とした時代、行動する20代との会話は大きな刺激に満ちています。ということで本日の会議相手はDRAW A LOT総合プロデューサー/合同会社ライクズCEOの青山薫さん。27歳です! さわやかだな~。

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まず、このDRAW A LOTって何でしょう? サブタイトルに「横断型クリエイター応援プロジェクト」とありますが。

いまクリエイターという仕事にあこがれる人はたくさんいるけど、それで実際生活していける人は少なくて。だから企業と組んでクリエイターに仕事のチャンスを渡そうと「DRAW A LOTコンソーシアム」という集合体を作ったんです。そこに所属する企業や自治体はいろんな形で協力してくださって、協賛してくださるところもあれば、商材を貸してくださるところもあり、社員を講師として派遣してくださるところもある。我々はその中で「DRAW A LOTカレッジ」というプロジェクトも運営してて。この仕事で食べていきたいと考えてるクリエイターに、キャリアの作り方やポートフォリオの作成に関する指導を行ってるんです。そのカレッジの講師として以前カミガキさんに出てもらったんです

そこでカミさんと知り合ったんですね。レポートも出てますね。

それにしても「クリエイターになりたい20代」はいても、「クリエイターになりたい人を応援する20代」は珍しい気が。どういう経緯でこの道に?

僕はもともと音楽をやってたんです。ただ、好きを仕事にするかどうか考えたとき、自分の気持ちを確かめたら「そういう心構えはなさそうだな」って気付いて。というのも僕の父と兄が作曲系の仕事をしてて、クリエイターとして食べていくことの大変さを知ってたし、「この2人には敵わない」って感じてたんです。だから好きな道で食べていくことはあきらめて、その代わり「好きなことに関わる仕事をしたい」と思ったんです

青山さんにとってのひとつめの出発点は、自分の限界を認めたこと。もうひとつの出発点は、周囲への感謝の想いでした。

おかげで僕は大学卒業後、自分の好きなエンタメに関わる仕事をさせてもらってますけど、いま自分が好きな仕事をやれてるのは、まわりの大人が僕にチャンスをくれたからだと思うんです。そのチャンスを独り占めするのはムズムズするというか……自分が20代のうちに、僕が20代で得た恩恵や感じたことを次の世代に渡していくことがクリエイティブ界にも意義があると思って。絵が上手になるよう教えてくれる学校はいっぱいあるけど、絵が描ける能力で生活していく技術を教えてくれる学校はないなと思ったんですよ

そしてDRAW A LOTが立ち上がったのが2020年8月。昨年はコロナ禍に見舞われ、青山さんの周囲でも絵を描いてたり音楽をやってた仲間が生活が立ち行かなくなり、次々やめていったとか。それに対し「絵や音楽、マンガとかに生かされてきた人間として、この火は絶やしちゃいけない!」と使命に燃えた青山さん。そもそも昔から起業には興味があったんですか?

独立したいという気持ちは昔からありました。企業で働いてる方に「なんで会社で働いてるの?」って質問すると、安定という答えの他、事務手続きを全部やってくれるから、っていうのもあって。僕はファイナンシャルプランナーの資格も持ってて、全部自分でやってみたい気持ちが強いんです。それはDRAW A LOTとも関係してて。クリエイティブ職の方って事務手続きが苦手な方、多いじゃないですか? それって使う脳が違うんだと思うんです。そんな中、僕はたまたまものづくりの脳と事務手続きの脳の両方が得意で。この感覚を持てたら多くの人が幸せになるんじゃないかと思って作ったところはありますね

確かに、すごいクリエイターの人って社会的な事柄に関してはポンコツだったりしますからね。そこも支援するDRAW A LOT。しかしやっぱりさわやかだな~、青山さん。

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後半は青山さん個人にフォーカス。話を聞けば青山さん、DRAW A LOTの仕事以外にブランディングや相談業、グループアイドルの個人プロデュース、アイドルイベントの制作など、いろいろ多彩にやってるとか。

僕の考え方のベースにあるのは「基本に忠実」。僕は茶道や武道でよく使われる「守破離(しゅはり)」という言葉が好きで。まず師匠から教わった型を「守る」。そして勉強した後に「破る」。そしてちょっとずつ壊していくと、次第に型から「離れていく」。それが自分オリジナルのスキルや特性になるんです。とにかく目立つ事業をしたい人もいますけど、まず大事なのは先人の姿勢から徹底的に学ぶこと。やっぱり型を知らないと型を破れないんです。よく「『型破り』は型を知らないままやると『形無し』」って言われるけど、本当にそうで。だから僕はまず徹底的に勉強します

さわやか20代、青山さんの口から出た「守破離」というシブい言葉。このギャップにも惹き付けられますね。さらに影響を受けた本も古典!

外山滋比古さんという大学教授が物事を考えるときの自分の頭の使い方を書いてて、その中に「エディターシップ」という章があるんです。そこに「全体は部分の総和にあらず」って言葉があって。それはたとえパーツが同じでも、パーツを組み替える順番や装飾によってただの足し算ではなく掛け算になる、という意味で。それを読んで、僕は自分が第一次のクリエイターになることは無理だと思ったけど、誰かのいい音楽やいい話を組み合わせて提供することも立派なコンテンツだと思って。自分のもやもやしてる感覚に形が与えられてスッとしたんです

この『思考の整理学』は帯コピーに「東大・京大で一番読まれた本で話題」とあるように、刊行から35年で125刷・258万部突破。面白そう! それにしても考え方にそこはかとなく漂う「利他」の精神、ガツガツいきたい20代なのにどうしてそこまで他者のために動けのですか?

行動経済学で「効用」という言葉があるんです。目の前にりんごが1つあったとき、りんごの価値は変わらないけど、自分がおなかすいてるかどうかでりんごの評価は変わりますよね? 僕は充たされる感覚がたぶん人より低くて、「こんな楽しいこと独り占めしちゃもったいない」って思うことが多いんです。知人が「あふれたぶんだけ、おすそわけ」って言ってて、まさにそんな感じ。僕は金銭感覚が狂うほどお金が必要とは思ってないし、だったらひたすらお金を稼ぐのではなく、自分の持ってるお金や時間を他に投資していく人生の方が楽しいと思ったんです

欲に溺れないしなやかさ。「おすそわけ」した方が楽しいと思える人生観。青山さんがさわやかなのは、思考がさわやかなんだと気付きました!

クリエイターを目指す方々に言いたいのは「なるべく失うものが少ない若いうちにいろんなことをやった方がいい」ということ。ネガティブな意味ではなく、家庭とか持つとチャレンジしにくくなるじゃないですか? 案外日本って無茶をしても、お金がなくても、怒られはするけど死にはしないんです。だからいろんなことを若いうちに試して、「あ、自分はこれが好きなんだ」「これは向かないな」って土台ができてると、その土台はこの先何十年も使えるものになると思います。今のうちに自分の好みを見つけて、一緒に頑張っていきましょう!

ほんとそうだな、頑張ろう! 若者だけでなくおじさんもその気にさせる青山さん、いやぁ元気もらっちゃいましたよ。

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2021.3.8 on-line

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