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この夏、飛騨の大自然をまるごと味わう|飛騨さんぽ
「飛騨さんぽ」は、紆余曲折を経て雪国・飛騨に移り住んだ浅岡里優さんが、日々の暮らしの中で感じた飛騨の魅力を飾らない言葉で綴る連載です。第7回は、釣りにキャンプにBBQと、飛騨の大自然をまるごと満喫できる夏の過ごし方をご紹介します。
「飛騨の暮らしは、忙しい」
大自然を遊び尽くしている友人が語っていた印象的な言葉だ。
春は山菜採り、夏は川遊びや釣り、秋には栗拾いや紅葉狩り、冬になればウィンタースポーツ。飛騨は四季を感じながら、その時々ならではの楽しみを届けてくれる。
今回は飛騨を味わい尽くしている友人たちの手を借りて、夏の飛騨を満喫してきた。朝から飛騨の美味しい野菜を調達し、昼から清流で魚釣り、夕方から山々に囲まれてBBQとキャンプ。
今日は、その体験を通じて飛騨の魅力をご紹介したい。
飛騨の野菜がおいしいワケ
飛騨に移住して感動したことのひとつ、それは野菜がとても美味しいことだ。広葉樹林が多く残る飛騨の山々から流れ出るミネラル豊富な水や、寒暖差の激しい気候がその美味しさの秘密。寒暖差が大きいと、糖分(野菜にとっての養分)を蓄えやすくなる。夜が涼しいと野菜の呼吸が少なくて済み、日中に蓄えた糖分を消費しなくて済むというメカニズムである。
飛騨でBBQをするなら地元野菜を使いたいと、「地場産市場ひだ」に向かった。BBQのような素材そのものを活かす料理には、畑から直送の採れたて野菜に敵うものはない。
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地場産市場ひだには、メジャーな野菜だけでなく、普段あまり見かけない珍しい野菜が並ぶこともある。今回たまたま「コールラビ」という野菜を発見。
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スタッフの方から「サラダみたいに生で食べても美味しいし、煮込むとカブのようにトロトロになるんですよ」と教えていただき、初めての食材も試してみたいねとBBQ用に購入。
こうしたその時々の野菜たちとの出会いも、このお店を訪れる楽しみのひとつである。
今回は、コールラビを含め、新玉ねぎ、カブ、レタス、ラディッシュ、きくらげ、にんにくをゲット。
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地場産市場ひだのスタッフのみなさんは、気さくな方ばかり。農家さんごとの特徴や、おすすめの食べ方、同じ野菜でも品種ごとにおすすめの調理方法を教えてくれる。ぜひ、地元野菜をより美味しく味わうヒントを一緒に持ち帰ってもらいたい。
飛騨の清流で釣りを楽しむ
そしてお昼は、川釣りへ。
私と旦那は初挑戦。漁協組合にも所属する友人に連れられてとっておきのスポットに到着。いつもは半日くらいかけて釣るそうだが、今回は3時間と決めてチャレンジ。
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さて、その釣果は・・・・・・
残念ながら、私の竿はぴくりとも動かなかった。旦那はビギナーズラックで30cmくらいある山女をゲット。同行してくれた友人たちも釣り上げ、山女2尾、岩魚1尾の合計3尾を調達。
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釣れはしなかったが、魚が隠れていそうな場所を探ったり、垂らした釣り糸をどんなふうに揺らすとよいかなど、あれこれ試行錯誤するのは楽しかった。(もちろん、釣れたらもっと楽しいはずだけれど。笑)
自然を守ることの意味
なんとか無事に、晩ご飯の材料を調達することができた。
だが、3時間で3尾釣れたのは、きっとラッキーに近い。私なんて手応えすらなかったわけで、食材として魚を調達するむずかしさを痛感した。実際、日々の食料を確保するために釣りをしていた時代もあったわけで、釣れなかったらそれこそ命に関わる。
今はスーパーに行けば、簡単に魚を手に入れることができる。それがどんなに有り難く、尊いことか。身に沁みて感じた。
さらに、次の友人の言葉にハッとさせられた。
「よい魚が育つかどうかは、周りの自然環境によるところが大きいんだよ」
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なるほど、山女も岩魚もきれいな水にしか生息できない。豊かな自然を守ることは、私たちの命や暮らしに直結しているのだ。
誰もがこの感覚を持っていれば、「自然を守りましょう」なんてわざわざ呼び掛ける必要もない。とても大切な本質を、日常から切り離してしまっていることに気づいた。もちろん頭ではわかっていたけれど、実際に体験してみてようやく実感が伴うようになった。
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「NOASOBIキャンプ場」の魅力
いよいよキャンプへ。
今回訪れたのは、飛騨市河合町にある「NOASOBIキャンプ場」。スキーのゲレンデをオフシーズンにも有効活用しようと、2019年にオープンした。
私がここをおすすめしたい理由は3つある。大自然の中でのびのびとキャンプを楽しめること。めちゃくちゃキレイな景色が味わえること。さらに、管理人の岡崎ファミリーが素敵なことである。
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岡崎夫妻はご結婚後、フィジーやサモア、ニュージランドなどで暮らした経験がある。賢一郎さんは会社員時代に道化師(クラウン)の存在を知ってその道に入り、現在はClown ToKaとしても活動している。
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“クラウン”とは道化師の総称で、全世界に1,000以上もの種類があると言われている。日本で一般的に知られている“ピエロ”はそのうちのひとつだ。
「クラウンは失敗のない職業。どんなことでも笑いに変えて届けられる。クタクタになるくらいエネルギーを使うんですが、逆に、お客さんからエネルギーをもらうこともあるんです。自分はこれまでたくさんの人に助けられてきた。だから次は僕がつなぐ番」と話す賢一郎さん。
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福祉のイベントなどにも出向く
飛騨にはユニークで温かい人が多いなと感じるが、岡崎夫妻に出会い改めてそれを感じた。ぜひ飛騨を訪れた際は、地元の方との交流も楽しんでもらいたい。
さらに、NOASOBIキャンプ場にきたらぜひ体験してほしいものがある。それが「茅野の黒炭」だ。
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河合町では、昔から燃料としての炭焼がさかんで、たくさんの炭焼き職人がいた。しかし戦後のプロパンガスの普及により、多くの人が辞めてしまった。それでもなお、炭を手作りする炭小屋さんが残っている。飛騨の森から切り出した木を一年かけてじっくりと仕上げた本物の黒炭である。
その特長を賢一郎さんはこう語る。
「丁寧にカタチをそろえて焼かれているので、崩れにくく長持ちするのが特長です。加工から仕分けまでをたったひとりでやられているので愛情もたっぷりです」
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* * *
さて、いよいよお待ちかねのBBQ!
飛騨の川魚を豪快に網焼き。自分たちで釣った魚はより一層美味しく感じる。飛騨の野菜たちも焼いたり、スープにしたりしてその滋味を楽しんだ。
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飛騨の広葉樹を使ったスモークチップによる燻製づくりにも挑戦。飛騨でもっとも多い広葉樹・ブナのチップを選んでみた。
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味わいとしては、よく見かけるサクラやナラ、ヒッコリー(くるみ)ほど香りに主張はないが、その分シンプルに食材の味を引き出してくれる。
ここでしか味わえない絶景を紹介!
今回はあいにくの雨模様で、美しい星空や日の出を拝むことはできなかったが、朝から晩まで飛騨の大自然を味わい尽くす濃密な時間になった。
最後に、NOASOBIキャンプ場で見ることができる美しい景色を紹介しておこう。
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特におすすめは新月のあたり
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飛騨の大自然をまるごと味わうことは、地球を味わうことに等しい。この素晴らしい自然の恩恵を未来に引き継ぐため私にもできることを、この飛騨の地で模索しながら、皆さんにお伝えしていきたい。
文・写真=浅岡里優
写真提供=岡崎賢一郎(NOASOBIキャンプ場、Clown Toka)
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浅岡里優(あさおか・りゆ)
1990年生まれ。九州大学芸術工学部卒業。大学卒業後、新卒採用支援の会社を立ち上げるも挫折。0からビジネスを学び直そうと、株式会社ゲイトに参画。漁業から飲食店運営まで、一次産業から三次産業まで一気通貫する事業を経験。その後、クリエイティブの力で環境問題などの解決に取り組むロフトワークへの参加を経て、2021年に飛騨へ移住。自然に囲まれた暮らしに癒されながら、飛騨の魅力を発信している。
◉地場産市場ひだ
〒509-4252 岐阜県飛騨市古川町朝開町1315
https://jibasanitibahidaenjoy.hida-ch.com/
※7/2に飛騨産直市「そやな」として移転&リニューアルオープン!
移転先住所:〒509-4254 岐阜県飛騨市古川町上町1348-2
道の駅 アルプ飛騨古川内
◉NOASOBIキャンプ場
〒509-4312 岐阜県飛騨市河合町稲越2824番地
https://hidakawai.com/green/
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