養蜂していて最悪の事態は?(ミツバチの病気)

最悪の事態。
やっぱり、一番は腐蛆病の発生じゃないかと思います。

 これが発生すると幼虫が溶けるように死に匂いもひどくなると言うことなんですが、
一番の問題はこれ家畜衛生法上の特定伝染病で発見したら、すぐ家畜衛生保健所に報告しなければなりません。
自分の養蜂場だけでなく近隣へも広がってしまう。
鳥インフルエンザやブタコレラのように当局によって発生した群は焼却処分になります。

 今は発生した群れだけ焼却ですが、昔は養蜂場すべての箱を焼却の上、5年間飼育禁止だったなんて話も聞いたことがあります。本当でしょうか?
養蜂に適した場所は、そんなに簡単に確保出来ません。つらいものがあります。

 即報告→焼却と言うルールがある為、チョーク病やダニ対策のように発生、発見後の対応をみんなでいろいろ試してみることが出来ません。なので、予防に専念する必要があります。
 ただし、この腐蛆病の病原菌はかなりの高い割合でミツバチが保菌していることがわかっています。
 発症するのは、菌がミツバチの耐性以上に菌が増えてしまった場合と言うことになります。また、菌が休眠状態の芽胞では殺菌の条件のハードルがかなり高いので、完全に死滅させるのは困難です。考えられる予防、対策は以下の通りです。

①放射線照射
 芽胞を含めた殺菌は困難と言いましたが、ほぼ完全に殺菌できるのが、この方法になりまます。
 スパイスの殺菌などに日本では使用されているみたいですが、基本的には食品そのものへの利用はほとんど認められていません。当然、ハチミツにも照射するのは厳禁です。
 養蜂の場合には、巣箱、巣枠(ハチミツが残っていない状態)、巣礎などに照射しているようです。この放射線照射サービスですが、初めの頃はあまり利用する人はいなかったそうです。今では全国の養蜂家から依頼が殺到しているそうです。規定の大きさのダンボールに入れて送る必要があり、量が多いほど安くなるそうです。
 デメリットとしては、照射したものがちょっともろくなるのだそうです。
 利用前の巣礎、巣枠、巣箱にも腐蛆病の芽胞があるかもしれず、念の為に根絶させたいひとにはうってつけです。
 ちなみに、ダニやカビももちろん死に絶えます。

②次亜塩素酸
 昨今のコロナでよく使われる消毒液です。表面にある芽胞ではない菌には有効だそうです。
 液体での購入のほか生成器も販売されています。医療、福祉施設で利用されています。機械は高いですが、食塩水から生成できるので大量に使用するなら割安になるかもです。保管していた巣枠に霧吹きして、暫くおき、軽くはたいて巣箱に入れます。

③アピテン
 腐蛆病の予防薬です。治療には使ってはいけません。使用法を守って使ってください。

④巣枠の更新を早くする
 日本ミツバチが病気に強いのは、巣をかじってドンドン新しく更新するからです。西洋ミツバチでも
巣枠を何年も使わず更新すると、病気になりずらいそうです。
 種蜂を出荷する養蜂場で病気が出づらいのは、古い巣枠をどんどん出荷しているからと聞きました。

⑤巣箱の加熱消毒
 海外で150℃のロウで決まった時間加熱すると巣箱についている腐蛆病が死ぬことを確認したと言うのをどこかで見ましたが、150℃でも揮発しないロウってなんだろ?と思いましたが、大掛かりになり現実的ではありません。
 現実的なのは、巣箱を洗った時にバーナーで炙るとかでしょうか。効果のほどはわかりません。
 内見が終わる度にツールをバーナーで加熱するのは効果ありそうです。

⑥群を大きく保ち、掃除好きな群を選抜する 
 群を大きく保つのは、病気、害虫、天敵に対する耐性があがり、採蜜量が増えるので基本ではありますが、腐蛆病の菌(もしくは、管理しなくてはいけない巣枠のスペース)に対してミツバチの割合が多い方が腐蛆病にかかりにくいと考えられます。また、掃除好きの群れは変だなと思った幼虫や蛹を巣穴からどんどん引っこ抜いいて捨てていきます。巣箱内も綺麗に管理しています。
女王蜂が正常であるのが前提ですが、この習性が強い方が病気にかかりずらいそうです。

 私はとりあえず、ツールをガスバーナーで作業ごとに炙る。保管した巣枠を戻す時は次亜塩素酸を霧吹く。また、今年から巣枠は2年分にしようと決めました。桜が咲いて新しい巣枠を利用し始めたら、一昨年の巣枠は処分します。
 あと巣を蜂にすべて作らせて使い回さないと言うのもやってみたかったのですが、越冬後に伸びの悪い群れを整理したので、予備の群がなくなり、まだ試せていません。

 さて、話は余談ですが、どっかの大学の先生が腐蛆病が発生したら育児枠を全て処分し、女王蜂を1〜2週間隔離。その後、なにかの消毒液(忘れました)を巣礎に噴霧して女王蜂を開放すると腐蛆病は、ほぼ収まると言うことを言っていたらしいのですが、治療法として認可されるには途方もないから諦めたとか言う話を聞きました。
 嘘かホントかどこかの研究室で実証して欲しいです(開放空間で試すのは、特定伝染病なのでやってはいけません。)。

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