スズメバチ対策について(ミツバチの天敵②)

 私が養蜂している地域では、梅雨が開けると花が少なくなるので、採蜜を終了し、来年のシーズンの準備を始めます。

 その頃から段々巣箱にやってくる頻度が増えるのはスズメバチです。
 よく見るのはキイロスズメバチ。
どちらかと言うと小型の部類ですが、アシナガバチなんかよりは大きく巣箱の前でミツバチを待ち構えて、捕まえては一匹ずつ巣に持ち帰っていきます。
でも、しょせんは一匹ずつ持ち帰っていくだけ。そんなに痛くないと思って油断していると、ある日申し合わせたように一斉にやってくるのがオオスズメバチです。
 何も対策しないでオオスズメバチの群れに襲われた場合、一箱全滅までの時間は数時間です。

 巣箱の前で働き蜂をドンドン噛み殺して、死蜂の山を作った後に幼虫と蜂蜜を根こそぎ奪っていきます。西洋ミツバチを飼育する場合、オオスズメバチ対策は必須なのです。

 対策の目的は、以下の3つに分類されます。
①巣箱を行動圏内とするオオスズメバチを減らす。
②巣箱にやってきたオオスズメバチを捕らえる。
③巣箱内にオオスズメバチが侵入できないようにガードする。

①巣箱を行動圏内とするオオスズメバチを減らす。
 スズメバチはミツバチと異なり、女王蜂一匹で越冬します。従って、春から巣作りを開始し、働き蜂を産み育てますが、6月くらいまで女王蜂一匹で活動しています。この時期の女王蜂を捕らえて、殺せればその後数百匹産まれてくる働き蜂に悩まされることがなくなります。つまり、女王蜂を捕らえることは、未来の数百匹の大群を捕らえることに等しいので、大変効率的です。

 主な方法としては、
・スズメバチのトラップを仕掛ける
 2リットルのペットボトルに焼酎とカルピスを混ぜたものや、蜂蜜を薄めたものをスズメバチが溺れるくらいの深さ(5〜10センチ)入れます。蜂蜜の場合は、ミツバチが匂いに惹かれることがないようにお酢を入れてください。
 ペットボトルの蓋をしめ、側面上部に1〜2センチほどの切込みを横と下の3方向に入れ、窓を作り、外側に開けば完成です。
 ある程度、蜂や虫が入っても捨てて綺麗にせずに死骸が中にある状態で放置した方が捕獲の成績がよいです。

・網ですくって、殺します。
 大きい蜂ほど動きが鈍いので、捕まえるのは難しくなく、スズメバチもミツバチに意識が向いているので怖くありません。(スズメバチの巣の周りでは凶暴なので、要注意です)
 気をつける点として、ゴム底の靴で踏んでも、ゴムの柔らかさで潰れないこともあるので、地面に靴をこすりつけるようにするとスズメバチが捻れて死にます。

②巣箱にやってきたオオスズメバチを捕らえる。
・ミツバチの巣箱の前に捕獲器をつけます。
 スズメバチは明るい方向に飛び立つ習性があるので、金網を伝って捕獲器に入っていきます。そして、明るい方に向かうので逃げられません。

大漁です。

・網ですくって殺します。
 これも効果的。詳細は、同じなので省きます。

・ネズミ取りの粘着シートに一匹生きたまま貼り付けます
 動きが鈍いので粘着部で叩けばOK。後は捕まった蜂が集合フェロモンをふりまくので、寄ってきたオオスズメバチがどんどんネズミ捕りにくっつきます。

③巣箱内にオオスズメバチが侵入できないようにガードする
 巣箱の巣門の前にミツバチは通れて、オオスズメバチが通れない網目の金網を設置します。

日本ミツバチでよく行う方法ですが、スズメバチの絶対数が減るように他の手段と組み合わせてください。
画像の金網は日本ミツバチならOKですが、西洋ミツバチではバラバラとオオスズメバチに向かって殺されることがあるので、もっと巣門と金網までの距離をとるように大きいものを用意するとミツバチが無謀な戦いに挑まなくなります。
 それでも巣箱の中に入られなければ、全滅は免れられます。戦いに挑むのは余命が短い外勤蜂。新たに働き蜂が、産まれて来るので大惨事は避けられます。

秋口に蜂数が激減すると越冬の失敗につながるので、しっかり対策しておくのが大事です。

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