仕事について、経験・感覚でものを語るな〜若い世代への誤った偏見〜
つい先週、文部科学省が新規学卒者の離職状況(2021年3月卒業者)の調査結果を公表しました。
21年に新卒入社した大卒者のうち、34.9%が3年以内に離職したとのこと。
ここ15年では最も高い離職率となりました。
といっても、割合は28.8%~34.9%の間を推移しています。
この調査は1987年の卒業者より始まっており、
37年間という長いスパンで見ても、大卒者の3割が3年以内に離職する傾向です。(就職状況や景気により変動はあります。)
現在も、30数年前も、状況は変わらないのです。
この調査結果は、もちろん事実を表していますし
調査のやり方も説得力が高くなる方法で実施しています。
(具体的には、新卒時の雇用保険取得数と3年以内の喪失数で求めています。)
このような明白なエビデンスが存在するにもかかわらず、
上の世代(特に50代・60代)は、短期離職の若者を批判する人が多いです。
日テレのニュースでも、得意そうに批判しておりました。
(記事より文章引用)
勤務歴30年以上のメーカー勤務(59)
「我々の世代は退職に良いイメージはないので、いまの人たちにはそんなのは関係ないのかな」
会社員(60代)
「私は昭和世代の人間ですから、仕事命、家庭のためという考えで仕事はやってきた。(若い人は)考え方が甘いと思うんですよ。高校生ぐらいの感覚で世間に出られているのかなと」
(引用終わり)
ニュース見て、第一に考えたことは、
自分の経験・感覚だけで、物事を語らないでいただきたい。
仕事では、エビデンス無しで話を進めることは言語道断です。
具体性・ロジックが無いと判断されたら、一蹴されます。
仕事ではなく、プライベートでインタビューを受けているだけ。
と言っても、内容は仕事に関する話です。
仕事は人が生きていく上で欠かせないものです。
仕事に関する価値観=人間の生き様、に関わる話なのです。
一方的な価値観の押し付けや否定は、
生き様と生き様のぶつかり合いを生み出します。
人はどうしても、仕事の話を自分の経験をベースに語ります。
そして、自分の経験=世間の常識だと混同しがちです。
多くの人は、実際の数値データがどれほどになるか、気にしないでしょう。
正しい実態を知ることは無く(知ろうとする意欲も無く)、肌感覚レベルで終わらせます。
自分の経験が全てではありません。統計データも全てではありません。
ただ、データの方が実態に近いことは確かです。
受験や就職や仕事の話について
経験と感覚でしか語れない人間は、
論理的思考力の足りなさを晒しているのと同じです。