高度経済成長期の日本は環境に恵まれていた

高度経済成長期(1955年〜1973年)は、
個人の収入も増えてきて、便利な家電(冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ)も発明されて、
多くの人が物質的な豊かさを享受できるようになった。
頑張れば頑張るほど生活が豊かになった時代である。
確かに、豊かになるにあたって、
個人の努力や勤勉さも必要ではある。
だが、個人の頑張りよりも環境(経済、政治、社会情勢)の方が、豊かさをもたらすと考えている。

環境という土台がしっかりしてないと、いくら頑張っても意味が無い。

そういう意味で、
高度経済成長期は環境にとても恵まれていた。
その理由を3つの観点から考察したい。
①冷戦と中国の共産主義化
②アメリカ軍の駐留
③物質的な豊かさの追求

①について、第二次世界大戦が終わるとともに、アメリカとソ連の間で冷戦が始まった。この時代、共産主義の考えに肯定的な国家も多数存在しており、中国も共産党が国を支配していた。

アメリカは共産主義の拡大を恐れており、日本の共産化を防ぐために、敗戦後は復興を支援した。
つまり、中国という大国が共産化したから、
日本はアメリカの同盟国とならざる終えなかった。
もし中国が資本主義国家なら、アメリカは日本に見向きもしなかった。敗戦後の貧困から抜け出すのに時間がかかっただろう。
戦後直後からアメリカと中国が経済的なパートナーとなり、日本はそのおこぼれで何とかやっていく立ち位置だと思われる。

②について、①とも重なるが、アメリカにとって冷戦下における対ソ連・中国の拠点としての日本が重要だった。おかげで、国内に米軍基地が多数存在して、米軍が駐留して安全保障上の問題はアメリカに任せっきりで済んだのだ。その分、経済成長に財源や労力を費やすことができた。

③について、1950年代前半までは、現在では生活必需品と言われる家電が一切普及してなかった。誰も持っていない状態から、約20年で皆が持っている状態へと変わっていった。
つまりは、それだけ沢山の家電を生産・供給していたので、会社の売上や労働者の給料は確実に伸びていった。
家電に限らず、物質的な豊かさが浸透していった状況も経済成長をもたらしたと言える。

以上、自分なりに高度経済成長をもたらした環境要因を考察してみた。
確かに日本人は勤勉だが、
その勤勉さが十分に発揮できる環境があったからこそ、経済大国になれたのだ。

経済成長において、決して個人の能力だけが重要ではない。
能力があれば、努力ができれば、という根性論だけでなく、環境の重要性を理解することが必須である。


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