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フリースタイル書評バトル第1回「今、ラジオが面白い芸人」ーNo.4『別冊 思い出食堂 缶詰』

本と出会えるサイトホンシェルジュの新企画「フリースタイル書評バトル-芸人編-」。芸人におすすめの本を紹介し合ってもらう執筆バトルで、皆さまからの投票で連載権を獲得する芸人が決まります。(詳細は過去のnoteをご覧ください)

ホンシェルジュのサイト上にアップした本企画の記事ですが、このマガジン記事では芸人による作品紹介文の部分だけを読みたいという方向けに、1作品ごとに公開しています。

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No.4『別冊 思い出食堂 缶詰』

皆さん、はじめまして。突然ですが、これを読んでくれているあなたは本をどちらで購入しますか?私は書店で買うことが多いのですが、今の時代はインターネットで購入されている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実は身近にもうひとつ、本がたくさん並んでいて手軽に購入できる場所があります。そうです。「コンビニ」です。第三の男、第三のビールに続く、「第三の書店」コンビニ。私は、「コンビニに置いてある本」をテーマに本を選ばせていただきました。

テーマをコンビニ本に決めた私は、早速家から徒歩1分のファミリーマートへ向かいました。思えばいつも何気なく入店するコンビニに明確な目的を持って入ることは、どうしても食べたくなったカレーまんを探し求めて徘徊した何年か前の寒い夜以来のことです。

入店して本のコーナーを眺めると、ああ、ありました、ありました。「悪魔の雑学108」、「最新!眠れなくなる宇宙の話」、「可愛すぎる東南アジア旅行記」というようなネーミングセンス。ひと目で「これコンビニで買っただろ!」とわからせる独自のアイデンティティを確立した本がずらっと並んでいます。しかしそれらは「少し空いた時間に、気軽に素早く読める」ことに特化した面白そうな本だといえます。

そのなかでも私が心惹かれ今回読ませてもらった本は、「オール新作 読み切り漫画『缶詰』」(正式名称は『別冊 思い出食堂 缶詰』)です。

コンビニという老若男女すべての人が利用する場にそぐわない、「缶詰」だけをテーマにした漫画が全30本収録されているという、ストライクゾーンを絞りに絞った1冊に心奪われました。

しかし、なぜ缶詰は、こうも心ときめかせる存在であるのでしょうか。大量に並んでいるガチャガチャや、池袋駅にあるランチパックショップ、レトルトカレーなど、開けてみないと中身がみえないものに、私は似たようなときめきを覚えてしまいます。

そんなことはさておき本の内容ですが、この本ではひとつの缶詰をテーマにした10ページの漫画が30本、計30缶以上の缶詰が紹介されています。

シーチキン缶から高級たらばがに缶、帝国ホテルのコーンスープ缶に、コンビーフから自衛隊の缶めしまで、非常に幅広いラインナップの缶詰が紹介されており、ページをめくるたびにわくわくさせてくれるのですが、私が思うこの本の一番の特徴は、思わず「こうきたか!」と唸らせる、「缶詰×ストーリー」の掛け合わせにあります。

短編漫画なので内容に触れてしまうとかなりのネタバレを引き起こす恐れがありますので、いくつか簡単に紹介をさせていただくと、

コンビーフ×喫茶店の恋
カニ缶×売れない俳優とそれを支える女の子の3年越しの恋
さんまの蒲焼き×初恋
レバーパテ×幼なじみとの淡い恋
あずき缶×突然の恋


などなど……って恋ばっかりじゃねえか!!!!

「さけ缶×死んだ親父との思い出」や、「たこ焼き缶×熱い友情」などもありましたが、 8割は恋です。もう、この本では缶詰がキューピッドになってみんな恋愛しまくってます。

「缶詰を缶切りで開けるのは、フタが綺麗に取れた瞬間、手の込んだ料理を作り終えたのと同じ達成感に包まれる。」

というニュアンスの名言も出てきますが、そんなものおかまいなしに、とにかく恋です。酒とかあんまり出てきません。「みかん缶×離婚」といった別れの話まで出てくるほど、恋です。やはり、缶詰も恋心も、開けてみないとわからないといったところなのでしょうか……。

ちなみに私はこんなこと言ってますが恋愛モノが大好きなので、あっという間に1時間でとても楽しく全て読み終えました。恋で悩んでいるあなたにぜひ手に取っていただきたい、オススメの1冊です。

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■第1回「今、ラジオが面白い芸人」参加芸人

当記事は、こちらの参加者のうちの誰か1名が執筆したものです。

・三四郎 相田周二 
・サンシャイン 坂田光
・空気階段 鈴木もぐら
・かが屋 賀屋壮也

■投票はこちら

また、6/26(金)12:50まで投票も受け付けています。第1回「今、ラジオが面白い芸人」の記事を読み比べて、1番読みたいと思った作品に投票お待ちしております。


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