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こんな日もある


最近の自分は相当メンタルがやられていて。

こういうときは、
わざわざ気を紛らわそうとしたり
元気を取り戻そうとすると
余計にぐったりしてしまうので
その病みに従うことにしている。
落ちるだけ落ちてしまえと。

その病みに従った結果、
お酒に飲まれたいという
気持ちになったので
素直に居酒屋に行った。

はじめて入ったそのお店には
以前職場が一緒だった大将と
美人で笑った顔がかわいくて
歌が上手なママがいた。

テーブル席は1つしかなくだれもおらず、
みんなコロナが嘘かのように
カウンター席でわいわいと騒いでいた。

ここに混ざるのか…
せめてもう少し静かに飲みたい…
と思いつつも通された席について
とりあえず緑ハイを注文。

お通しはすき昆布の煮物、うま。
ママからかわいい〜!なんて言われても
笑って受け流しながら煮物、うま。

大将がお寿司を握るのを目の前で眺めつつ、
その手際の良さが気持ちよくて
ボーッと眺めながら動画を撮ってみたり。

私のテンションはそんな簡単に上がらない。

餃子もあるよとママから言われて、
そんなかわいい笑顔で言われたら
断れないじゃんと思いながら注文。

お寿司も美味しい、餃子も美味しい。
お酒もどんどん飲んじゃう。

でも、
私のテンションはそんな簡単に上がらない。

そのうちにカラオケがはじまって、
みんな各々好きな曲を入れて
どの歌でもみんなで盛り上がる。

うわー、カラオケ…勘弁…。

私はカラオケ大好きだけど
人前では絶対に歌わないタイプ、
(というか下手すぎて歌えないタイプ)
だけど他のお客さんに機械とマイクを押され、
ママからは一曲歌えば常連〜!なんて
みんなを巻き込みながら押されまくって
結局歌ってしまった。恥を晒した…。

歌ったのはシャ乱Qのズルい女。
選曲が客層に合ってたおかげで
私の歌声なんてどうでもよくて、
みんな大盛り上がりの拍手喝采。
なんか、気持ちよかった。笑
歌ったことよりも、みんなが
私の歌の上手い下手を気にせずに
楽しんでいることが気持ちよかった。

これでいい…。ずっとこれでいい…。

ちょっと元気が出て、
次にBEGINの島人ぬ宝を歌った。
これはもうとんでもない盛り上がり。
たぶんあの瞬間、どこの居酒屋よりも
この店が1番盛り上がった。
あまりにもみんな楽しそうで、
あまりにもママの笑顔が幸せそうで、
あまりにも元気で愉快な合いの手で、
私はもう笑いが止まらなかった。

ポテンシャルとか、得意分野とか、
仕事ができないとか、趣味がないとか、
生きる意味とか死ぬ理由とか、
なんかそういう劣等感の元に
なり得るものから1番遠いところにいる
そんな感覚がして、ちょっと楽しかった。

1人泣きながら、病みながら、
自棄酒でもしようとしていたのに
みんなの楽しさに巻き込まれて
その空間では自分も笑顔だった。

私のテンションは少し上がった。
けど、まだ下のほう。

ニセモノのハイテンションになる前に
時短営業のせいでお開きになってしまった。

店を出て夜の静かな寂れたシャッター街を
ひとりでゆっくり歩いた。
やっぱり私はひとりだなと思った。

加藤ミリヤの曲が頭に浮かんで、
"私はひとりいつもひとりずっとひとりで"
なんて小声で歌ってみたりした。

でもこの虚しさと悲しさと孤独感が
人間関係に疲れやすい私には
ちょうどいいのかもしれない。

歩く先には三日月がぼんやり光っていて、
電柱と時計屋さんのレンガの壁が見えて、
その奥に続く景色すべてが寂れていて。
あー、いいじゃん、この景色。

雰囲気あるねってだれかと共有したいけど
私はひとりいつもひとりずっとひとり。


今日もしっかり病んでる。
こんな日もある。

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