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-2- hon ami(ほんあみ)について

日本の印刷・出版史を語るうえで欠かすことのできない出来事の一つに、
慶長13年(1608年)の『伊勢物語』の刊行が挙げられます。
「嵯峨本」と呼ばれる豪華本シリーズの先駆けとなった書籍です。

出版したのは、角倉素庵(すみのくら そあん)という京都の豪商で、
嵯峨本という名は京都の嵯峨野で印刷・出版活動が行われたことに由来します。

当時としては珍しく挿絵が入っており、
豪華絢爛な装丁も大きな特徴のひとつです。
『伊勢物語』は国文学書のため、
平仮名活字が使われたという点でも大変珍しい印刷物でした。

この嵯峨本出版の協力者のなかに、
江戸時代初期に活躍した芸術家・本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)がいたと言われています。
光悦は、書・絵画・作陶・漆芸・刀剣といった幅広い領域で才能を発揮した
総合芸術家です。

唯一無二の豪華本を作り上げたい、
という想いでスタートしたこの大型本企画、
画家や学者などが結集して作られた嵯峨本にあやかって、
そのメンバーの一人と言われている本阿弥光悦の名前を
屋号に拝借することにしました。
また、一点一点手作りの製本で仕上げますので、
人の手で「本を編む」をいう意味も込め、
「hon ami」(ほんあみ)と名付けました。

ブランドデザインをお願いしたのは、
アートディレクターの柴田ハルさん(株式会社GIGANTIC)です。
和と洋のイメージが見事に合わさった、素晴らしいロゴをデザインしていただきました。

「大きい本の工房 hon ami」という看板を掲げて、
本の可能性を広げていく場をつくっていきたいと思います!

<参考文献>
「もっと知りたい 本阿弥光悦 生涯と作品」(東京美術)玉蟲敏子・内田篤呉・赤沼多佳 著
「日本印刷文化史」(講談社) 印刷博物館 編
「太陽 1977年4月号 本阿弥光悦」(平凡社)