大きい本の工房 hon ami

日本印刷株式会社が立ち上げた、大型アートブックのレーベルです。 作家さんが魂を込めた作…

大きい本の工房 hon ami

日本印刷株式会社が立ち上げた、大型アートブックのレーベルです。 作家さんが魂を込めた作品を最高の形で書籍にしたい! という想いのもと、 一流の職人の方々と唯一無二の大型作品集を作り上げます。

最近の記事

<連載>大型本出版プロジェクト④「江戸時代の天才芸術家」

国宝を目指して2023年7月某日 昼下がり。JR山手線・上野駅の公園改札口は行きかう人々でとてもにぎわっていました。かつてないほど猛暑が続いた今年の7月ですが、この日も頭上に巨大電気ストーブがあるかのごとく暴力的な陽射しを受けながら、私は東京国立博物館(東博)を目指して歩いていました。 お目当てはひとつの国宝です。恥ずかしながら私はこのとき、東博にはいつも国宝がずらりと並んでいるのだと思い込んでいて、この後に起きる悲劇は想像もしていませんでした。 美しい本館建物に入り、時

    • <連載>大型本出版プロジェクト③「世界一美しい本をつくろう!」

      大型本にかける!社長の熱き想い2020年3月某日 さて、時間はまた少し巻き戻って、この企画がスタートした頃のことです。 大型本を指さして「これオモロイだろう!」と叫んだ社長ですが、 そこには思い付きだけではなく、本作りへの熱い想いも込められていたのです。 ここ数年、紙媒体、特に出版・商業印刷は少しずつ縮小しており、 世の中のデジタル化は加速する一方で、印刷物の減少傾向はこの先も続くと見られています。 日本印刷技術協会のサイトによると、 「印刷統計」の2004年調査開始以来

      • <連載>大型本出版プロジェクト②「SUMO BOOKがやってきた」

        巨大な段ボールで届いたド迫力のSUMO BOOK2020年10月某日 さて、銀座蔦屋書店で大型本を購入する決意をしたわけですが、 いろいろあって実際に購入したのは2020年10月です。 ちょっと時間を飛ばして、今回はそのときのお話をします。 経費云々のことを心配していましたが、社長は「是非買おう!」とかなり乗り気で、自身が銀座蔦屋書店に赴き、ドイツTASCHEN社が発行するデイヴィッド・ホックニーのSUMO BOOKを選んでくれました。 デイヴィッド・ホックニーは、193

        • <連載>大型本出版プロジェクト①「大型本って何だ!?」

          弊社のウェブメディア「soyogo」との連動企画として、noteでも大型本出版プロジェクトのご紹介を連載いたします。印刷会社の新規事業の内幕を、是非お楽しみください! 鶴の一声で大型本プロジェクト始動2020年3月某日 「これオモロイだろう!!」 NPC日本印刷株式会社の大型本企画は社長のこの一言から始まりました。 コロナウイルスが猛威を振るい始めた2020年春、 7月から新規事業部に所属することが決まった筆者が社長室に呼ばれたときのことです。 社長が指さす先には、見たこ

        <連載>大型本出版プロジェクト④「江戸時代の天才芸術家」

          -4- 没入感に浸る特別な読書体験を

          hon amiの第1弾は大型写真集です。 写真という表現形態を素材として、 大型作品ならではの没入感を味わえるアートブックを作りあげます。 写真家が、ときに命をかけて撮影した、魂のこもった写真の数々を 最高品質の印刷と唯一無二の造本仕様の大型本で 楽しんでもらいたいと思います。 電子書籍では体感することのできない、 特別な読書体験が待っているはずです。 写真といっても様々なジャンルがありますが、 非日常の世界を本としてまとめあげたいという考えから、 まずは自然写真をテーマ

          -4- 没入感に浸る特別な読書体験を

          -3- アートとしての本

          hon ami では、本そのものもアートとして捉え、 本作りの可能性を追求します。 製本をご担当いただくのは、ブックアーティストの太田泰友さんです。 太田さんは、ドイツにおけるブックアートの最高学位マイスターシューラー号を日本人として初めて取得し、現在はブック・アーティストとして日本でご活動されています。 国内外の美術館やアートギャラリーに作品が所蔵されており、 蔦屋書店や美術館で個展を開催されるなど、 「ブックアート」というジャンルで活躍の場を広げています。 hon

          -3- アートとしての本

          -2- hon ami(ほんあみ)について

          日本の印刷・出版史を語るうえで欠かすことのできない出来事の一つに、 慶長13年(1608年)の『伊勢物語』の刊行が挙げられます。 「嵯峨本」と呼ばれる豪華本シリーズの先駆けとなった書籍です。 出版したのは、角倉素庵(すみのくら そあん)という京都の豪商で、 嵯峨本という名は京都の嵯峨野で印刷・出版活動が行われたことに由来します。 当時としては珍しく挿絵が入っており、 豪華絢爛な装丁も大きな特徴のひとつです。 『伊勢物語』は国文学書のため、 平仮名活字が使われたという点でも

          -2- hon ami(ほんあみ)について

          -1- 大きい本の工房、誕生

          日本印刷株式会社は、 東京の東池袋にあります社員100名ほどの印刷会社です。 50年以上にわたり印刷業を営んできた弊社が、 紙の文化を後世に遺すべく、アートブックの出版レーベルを立ち上げます。 印刷は、本来一点ものである芸術作品を広め、 継承していくことに大きく貢献してきました。 芸術作品の在り方を変えてきた、といってもいいかもしれません。 例えば写真芸術は、 写真集というメディアが印刷技術とともに発展することにより、 表現の可能性を大きく切り拓いてきました。 202

          -1- 大きい本の工房、誕生